敏腕広報マン、アグロフォレストリー農家に転身
2018年 02月 21日同農園では土地を肥沃化させるためにアグロフォレストリー方式を採用するなど、生態系を生かした持続可能な方法を取り入れている。
また、単に作物を売るだけでなく、作物を通じて消費者と関係を構築してゆくことも重視している。
コインブラさんは『農業を持続可能にする共同体(CSA)』というモデルの構築に投資をしている。
目指すのはあらゆる立場の人が農業を支えるコミュニティで、消費者はそこに月115レアル(約4000円)から240レアル(約8300円)の間の料金を払い、毎週様々な生産者からの農産物を受け取る。消費者は毎週、どんな野菜が届くかを楽しみに待つことになる。
「届く野菜を選ぶことはできませんが、初めて受け取る野菜があることで、消費者自身も新しいチャレンジの機会を得ることになります」(コインブラさん)
届ける方法は個別宅への配送ではなく、特定の場所に届いた野菜を各人が取りに行く方式をとっている。サンパウロ市内であればヴィラ・オリンピア地区、ヴィラ・マダレーナ地区のとある場所に届けられる。消費者は払っている会費に応じて1セット5点または9点の農作物を受け取る。
コインブラさんの農業法人は9人の協力者のもと、週に60セットを出荷している。昨年だけで4万3000レアル(約150万円)を売り上げた。
「この仕組みを通じて消費者は有機野菜をお手頃な値段で手に入れられるということに気づいたのです」(コインブラさん)
ブラジルでも有機栽培商品はまだ贅沢品。「ちょっといいもの」が「ものすごく高い」状態は野菜でも同じだ。
とはいえ食料品は値段を下げないと買い続けられない、値下げの代償を生産者に寄せるだけでは供給が継続できない。生産者と消費者が直接接することでお互いに無理なく続けられる道を探る、そんな共同体的発想がこの新しい流通を生み出したと言えよう。
(文/原田 侑、写真/Divulgação)