ラテンアメリカとカリブ海諸国では女の子の4人に1人が児童婚

2018年 04月 15日

児童婚 ラテンアメリカ

ラテンアメリカとカリブ海諸国は、児童婚や事実婚状態の子どもの割合の高さが過去10年間で改善していない世界で唯一の地域であると、ユニセフ(国連児童基金)ラテンアメリカ・カリブ海諸国地域事務所が4月12日(木)に発表した。

調査によると、ラテンアメリカとカリブ海諸国における児童婚の水準は、過去10年間、約25%のまま変わっていないという。一方、世界の他の地域では児童婚は減少傾向にあり、特に南アジアではこの10年で、児童婚の割合が50%近くから30%まで下がっているという。

ユニセフの調査で、ラテンアメリカとカリブ海諸国では、先住民の女の子、農村部に住む女の子、中・低所得層における児童婚や早期の事実婚状態が、都市部や高所得層よりも多くなっていることがわかった。また同地域では、結婚の形式をとらない事実婚の状態の方が、正式の法律婚よりも多い傾向にあることもわかった。

ラテンアメリカ 児童婚

ユニセフ・ラテンアメリカ・カリブ海諸国地域事務所のマリア・クリスチーナ・ペルセヴェル代表は、同地域では4人にひとりの女性が18歳未満で結婚或いは事実婚状態であると指摘した。

「18歳になる前に結婚を強制された女の子たちは、短期的にも長期的にも機会を奪われ、そうしたことが最終的に権利の実現に影響するのです。性的暴力、早く母親になってしまうこと、学校を去ることへのリスクが高まっていることや、仲間から社会的に排除されていることこそ、この地域で女の子たちが置かれている状況を明確に示しています。今行動しなければ、この状況は続き、彼女たちは取り残されてしまうでしょう」(マリア・クリスチーナ・ペルセヴェル代表)

この問題を解決する取り組みや投資の拡大がなければ、ラテンアメリカ・カリブ海諸国は2030年までに新たに約2,000万人の女の子が児童婚を強いられ、その割合は世界で2番目に高い地域になると目されているという。

ユニセフは、ラテンアメリカ・カリブ海諸国で児童婚や早期の事実婚が減っていない背景に、同様に高い割合(世界で2番目)の若年妊娠率と女の子への性的暴力のリスク(10代の女の子110万人が性的暴力を受けたと報告)があるとしている。ジェンダー間の複合的な不平等が、この地域の女の子たちの選択肢や機会を奪っているという。

また、貧困や法律も、児童婚や早期の事実婚状態と関わっているとユニセフは指摘する。国によっては、18歳未満の結婚が認められていたり、両親の同意や法定代理人もしくは司法当局の認可によって結婚できるという例外を定めている場合もあるという。

「ラテンアメリカ・カリブ海諸国における女の子の平等は、早期に母親になること、事実婚、暴力や、限られた人生の機会という複合的な原因によって制限されています。(彼女たちの)潜在能力が活かせず、権利が忘れられていることをこれ以上見て見ぬふりはできません。私たちは、国連人口基金(UNFPA)やUN Womenとともに、地域プログラムを開始し、地域における児童婚を直ちに終わらせることを呼びかけています。他のパートナーの参加も歓迎します」(マリア・クリスチーナ・ペルセヴェル代表)

(文/麻生雅人、写真上/© UNICEF_UN017596_Ueslei Marcelino、写真下/© UNICEF_UNI177021_Richter)
写真上はブラジルで、インターネット上の性的搾取被害に合った17歳のウィニーさん(中央)(2016年3月)
写真下はメキシコの学校で授業を受ける女の子たち(2014年10月)