CCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤー2017、新日鐵住金の進藤孝生代表取締役社長が受賞

2018年 07月 7日

CCBJ アワード

毎年、日本・ブラジル間のビジネスに最も尽力したビジネスパーソンに贈られるCCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤーの発表及び授賞式典が、7月3日(火)、東京・代々木にある駐日ブラジル大使公邸で行われた。

このアワードは在日ブラジル商工会議所(CCBJ)の会員の投票により選出されるもので、受賞者には、日本人移民造形作家、大竹富江のデザインによる記念トロフィーが贈呈される。

CCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤー2017には、新日鐵住金の進藤孝生代表取締役社長が選出された。

授賞式ではアンドレ・コヘア・ド・ラーゴ駐日ブラジル大使閣下が開会の辞を述べた。

「CCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤーは、ブラジルと日本の貿易関係の拡大に大きな貢献をもたらす重要な企業の活動や取り組みを表彰するものです。新日鐵住金は二国間投資の象徴となったウジミナス(ミナスジェライス製鉄所)の創設(1956年)に大きくかかわり、ブラジルの工業化に大きな貢献をされました。ウジミナスはアメリカ大陸有数の製鉄所のひとつであります」(アンドレ・コヘア・ド・ラーゴ駐日ブラジル大使閣下)

CCBJアワード アンドレ・コヘア・ド・ラーゴ駐日ブラジル大使閣下

「また、ウジミナスは2015年から2016年に、国際鉄鋼市場とブラジルの経済危機の影響を受けて歴史的な困難に直面しましたが、回復の道を開くための株主間の相互理解に進藤社長は決定的なリーダーシップを発揮されました。ウジミナスの主要株主のひとつである新日鐵住金の進藤社長の受賞は、ブラジルと日本のパートナーシップのさらなる飛躍、より親密な絆の確立を約束してくれるでしょう。おめでとうございます」(アンドレ・コヘア・ド・ラーゴ駐日ブラジル大使閣下)

CCBJのセルソ行徳会頭は、祝辞を述べた後、進藤孝生代表取締役社長にトロフィーを手渡した。

「1950年代以来、同社は高度な鉄鋼製品の生産技術によりブラジルの工業の発展に大いなる貢献をしました。ウジミナスはその中心的存在です。進藤社長の、将来を見据えたビジネス及び、自然環境との調和にも気を配ったリーダーシップに敬意を表します。本日はおめでとうございます」(セルソ行徳会頭)

外務省の中前隆博中南米局長は、50年以上に渡りブラジル社会のみならず、日系企業への支援にも尽力してきたウジミナスの貢献について述べた。

中前中南米局長 外務省

「ウジミナスの鋼板はブラジルで自動車の生産を行う企業にとっては不可欠な材料であり、現地の日系メーカーの生産活動を支えていますが、実は、私共、在外公館の活動でも、ウジミナス様からは大変ご支援をいただいているところでございます」(中前隆博中南米局長)

「日本総領事館のないミナスジェライス州などにおきまして邦人保護、あるいは日系企業の支援に多大なご協力をいただきました。これはウジミナス様が現地社会で強い信頼を得られているからこそ実現できたパートナーシップと言えると思います。在リオデジャネイロ日本国総領事館におきましては現地政府、社会と良好な関係を持つウジミナス様と協力して障がい者施設の整備など、草の根・人間の安全保障無償資金協力の事業を実施しているところでございます」(中前隆博中南米局長)

「ウジミナスは1950年代の日伯ナショナルプロジェクトの時代にブラジルに誕生しました。ウジミナスは日伯協業、日伯協力のパイオニアであられ、日系社会と共に、世界的にも類を見ないブラジルの親日感の土台を築いてこられたと思います。進藤社長のリーダーシップのもと、新日鐵住金さまが、ウジミナスという日伯両国の宝を通じて、ブラジルでますます発展を遂げられることを祈念いたします」(中前隆博中南米局長)

CCBJアワード

CCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤー2017を受賞した新日鐵住金の進藤孝生代表取締役社長は、同社のブラジルにおける歴史と近況について語った。

「当社はブラジルにおいて、1960年代の建設時から支援を続け今日では南米有数の製鉄会社に成長したウジミナス社を主要株主として経営し、同社からの競争力ある高級鉄鋼製品の供給を通じて、ブラジル経済、産業の発展に尽力してまいりました。またウジミナス社以外にも1950年代初頭から60年以上にわたり続いているVALE(ヴァーリ)社などとの鉄鉱石取引や、2011年にはフランスのヴァローレックス社とのシームレスパイプの合弁企業であるVSP社をスタートさせるなど、資源から製品に至るまで鉄にかかわる幅広いビジネスを展開しております」(進藤孝生代表取締役社長)

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「おかげさまでウジミナス社の経営状況におきましては、国際協力銀行殿、住友商事殿、三菱商事殿をはじめ皆様の多大なご支援のもと、2017年には当初計画から前倒しで黒字化を達成し、財務改革も進んでいるところでございます。本年、ブラジルと日本は移民110周年を迎えました。ブラジルは日本にとって長い友好の歴史を持つ大事なパートナーであります。鉄鋼業から見ましてもポテンシャルの高いマーケットなどを持っております。当社は今後とも、ウジミナス社をはじめとする事業会社の経営や、資源取引を通じ、ブラジル経済、産業の発展に寄与していきたいと考えております」(進藤孝生代表取締役社長)

CCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤーが始まったのは2010年で、今年で6回目を迎える。2016年度には津賀一宏 パナソニック代表取締役社長、2015年度には西井孝明 味の素取締役社長が選出されている。

(写真・文/麻生雅人)