【コラム】ブラジルでサッカー選手の「あだ名」登録が廃止に!?

2018年 08月 14日

ジーコ

●ペレ(Pelé)

本名:エジソン・アランチス・ド・ナシメント

ペレは4歳の時にサンパウロ州のバウルーに移住。当時、友達からは「エジソン」、家族からは「ジーコ(Dico)」と呼ばれていました。父親がサッカー選手だったため、ペレも自然とサッカーを愛するようになり、地元の少年とサッカーをするようになりました。

意外なことに少年時代のペレはゴールキーパーをしていた時期があり、シュートを止めると必ず「ビレ!!(Bilé)」と叫んでいました。ビレというのは、ペレのお気に入りのゴールキーパーの名前。チームメイト達は、ペレがシュートを止めるたびに「ビレ」と叫ぶ理由が分からなかったそうですが、そのうちに、チームメイト達は彼のことを「ペレ」と呼ぶようになりました。当初、ペレ本人はそのあだ名が好きでは無かったようです。

「私の名前はエジソンだ。エジソンは、電灯を発明したトーマス・エジソンのようで好きだ。ペレというのは私が考えた名前ではないし、この子供っぽい名前は好かない」とペレは後に語っています。

ペレの想いとは裏腹に、短くて覚えやすい名前と、華々しい活躍に伴い、「ペレ」という名前は瞬く間に有名になり、世界中の人に知られるようになりました。

●ジーコ(Zico)

本名:アートゥール・アントゥーネス・コインブラ

元日本代表監督で、2018年からは鹿島アントラーズのテクニカル・ディレクターを務めることになったジーコ。

ジーコは、ポルトガル移民を両親に持ち、6番目の末っ子として1953年にリオデジャネイロに生まれました。ジーコの母親は6人の子供をあだ名で呼んでいました。あだ名は順番に、マリア・ジョゼー(ゼゼー)、ジョゼー・アントゥーネス(ゼッカ)、フェルナンド(ナンド)、エドゥアルド(エドゥ)、アントニオ(トゥーニコ)でした。

アートゥール(ジーコの本名)がまだ幼い時、アートゥールは、体が小さかったことからアートゥールジーニョと呼ばれました。次第にあだ名がアートゥールジーコに変化し、いとこのエルメリンダが、あだ名を更に短くし、「ジーコ」と呼ぶようになりました。

●ガヒンシャ(Garrincha)

本名:マノエウ・ドス・サントス

ペレと並び称される存在でもあったガヒンシャの名前は、カヒッサ(日本名:ミソサザイ)という小鳥に由来しています。ガヒンシャというあだ名の由来には、幼い頃にミソサザイを捕るのが好きだったという説や、彼の姉が、「ガヒンシャのように身体が小さい」と言ったという説などがあります。

●カカ(Kaká)

本名:ヒカルド・イゼクソン・ドス・ドス・サントス・レイチ

カカの弟(ホドリゴ)は、幼い頃にカカの本名(ヒカルド)の発音が難しいことから、兄のことをカカ(caca)と呼んでいました。その後、綴りはKakáに代わり、現在に至ります。ついでながら、カカの弟のホドリゴもプロ・サッカー選手として活躍しました(セレソン経験は無し)。彼も、本名ではなく、あだ名(Digão)を選手名にしています。身長が194cmと高いことから、このようなあだ名がついたのだと思います。

●フッキ(Hulk)

本名:ジヴァニウド・ヴィエイラ・ジ・ソウザ

Jリーグでもプレーしていたフッキ。中国サッカー・チームに移籍し、ネイマールとほぼ同じ報酬を獲得したことで、ニュースにもなりました。

Hulk(ポルトガル語では「フッキ」と発音)という名前は、米マーベル・コミックの『インクレディブル・ハルク』の怪人、ハルクに似ているというのがその由来です。

●ビゴージ(Bigode)

本名:ジョアン・フェヘイラ

ビゴージ(Bigode)とはポルトガル語で「口ひげ」という意味です。1950年のW杯にはブラジル代表選手として出場しています。なぜ「口ひげ」という妙なあだ名で呼ばれているのか、調べても良く分からなかったのですが、おそらく立派な口ひげを蓄えていたから、という程度の理由かと思います。

●ブランコ(branco)

本名:クラウジオ・イブライン・ヴァス・レアウ

ブランコ(branco)というのはポルトガル語で「白」という意味です。あだ名の由来は調べても良くわからなかったのですが、リオ・グランデ・ド・スル出身のガウーショで白人系なのでブランコと名付けられたのではないかと思います。

●カレッカ(careca)

本名:アントニオ・ジ・オリヴェイラ・フィーリョ

カレッカ(careca)というのは「禿げ頭」という意味ですが、カレッカの写真をみると髪の毛はフサフサです。「カレッカ」というあだ名の由来は、彼が子供の頃、ピエロのカレキーニャの歌を良く歌っていたから、ということです。ちなみに、カレキーニャ(本名:ジョルジ・サヴァーラ・ゴメス)は禿げ頭です。

(文/唐木真吾、写真/Divulgação)
写真は2017年からフラメンゴが販売をはじめたジーコのキャラクターグッズ用キャラクター、ジキーニョ

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著者紹介

唐木真吾 Shingo Karaki

唐木真吾 Shingo Karaki
1982年長野県生まれ。東京在住。2005年に早稲田大学商学部を卒業後、監査法人に就職。2012年に食品会社に転職し、ブラジルに5年8カ月間駐在。2018年2月に日本へ帰国。ブログ「ブラジル余話(http://tabatashingo.com/top/)」では、日本人の少ないブラジル北東部のさらに内陸部(ペルナンブーコ州ペトロリーナ)から見たブラジルを紹介している。
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