【コラム】サンフランシスコ河中流域における灌漑農業の発展
2019年 12月 17日6: セルトンの海はセルトンに戻る? 深刻な水不足
灌漑農業は人口の増加と経済的繁栄をもたらしたが、必ずしも順風満帆というわけではなかった。
直近5年間は深刻な干ばつによる水不足に苦しめられている。2015年12月にはソブラジーニョ 人造湖の貯水率が 1%を切るという瀕死 状態に陥った。
「人造湖の底に沈んだ建物を再び見ることになるとは思わなかった」とかつての住民が複雑な表情で話す様子をTV番組は報じた。
1979年の開業当初、人造湖から下流に放出する水量は平均 2,060m³/s だったが、2013年から放出量が段階的に引き下げられており、現在は 550 m³/s とわずか 4分の1にまで絞られている。先に「セルトンは海になり、海はセルトンになる」という予 言を紹介したが、まさに海になったセル トンが再び乾いた大地(セルトン)に戻ろうとしているのだ。
この危機的状況を 受けて、テメル大統領(当時)は2016年8月に、サンフランシスコ河の再開発プロジェク ト(Plano Novo Chico)を立ち上げ た。
計画では今後 10 年間かけて 70億 レアルを投資し、取水機能の強化、歩留まり強化による水量の増強を図る狙いだが、汚職と非効率がお家芸のブラジルなので、実際にどの程度の効果があるのか懐疑的な見方も少なからずある。
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