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抗ウィルス作用があるというアマゾンの薬草ウーニャ・ヂ・ガトとは?

ウーニャ・ヂ・ガト(写真/Vangeliq.petrova

食生活からデザインの分野まで、さまざまな先住民の知恵や文化が、現代の生活の中にも数多く活かされているブラジルでは、地方によっては、古来から土地に伝わる薬草文化が今も息づいている。

アマゾン地域で広く知られるウーニャ・ヂ・ガトも、先住民によって利用されてきた薬草で、現地メディア「UOL」によると、抗炎症や免疫力強化などの作用のほか、喘息、関節炎、胃炎、糖尿病、副鼻腔炎など幅広い効用があると考えられているという。

そしてウーニャ・ヂ・ガトが持っていると考えられているもうひとつの効用が、抗ウイルス作用だ。

ウーニャ・ヂ・ガト(エリーニャの名でも知られる)はアマゾンの熱帯雨林や中南米の熱帯地域に自生する、アカネ科カギカズラ属の植物。大きく分けて2種が知られており、それぞれ学名はUncaria tomentosa (Willd.) DCとU. guianensis (Aubl.)Gmel.)となる。日本ではキャットツクローの名で知られている。

葉の下に猫のかぎ爪のような棘があることから、ウーニャ・ヂ・ガット(キャッツクロー、猫の爪)と呼ばれている。

ウーニャ・ヂ・ガト(写真/Vangeliq.petrova

リオデジャネイロ連邦大学(UFRJ)科学研究所有機化学科のリジア・マリア・マリーノ・ヴァレンチ准教授によると、ウーニャ・ヂ・ガットは「複数の先住民の部族によって少なくとも2000年間、腐敗や炎症、胃潰瘍の治療や、避妊、その他の目的で利用されてきた」薬草で、この植物の「生態学的・経済的側面だけでなく、治療特性、構成要素の複雑さと構造の多様性とその作用メカニズムが、この30年来、医師、化学者、薬理学者、植物学者、農学者、および経済学者の関心を集めている」と述べている(1)。

リオデジャネイロ研究助成カルロス・シャーガス・フィーリョ財団(FAPERJ)も2009年に、ウーニャ・ヂ・ガトがデング熱の治療薬の開発に寄与する可能性があることを発表している(2)。

(3)は過去の様々な研究により、「化学的、生物学的および薬理学的研究によると、この種には、免疫刺激作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用、癌細胞増殖阻害剤など」が指摘されていることを紹介している。

民間療法においてこの植物は、先住民はの間で「主に、茎の樹皮または根から煎じたお茶のスタイル」(リジア・マリア・マリーノ・ヴァレンチ准教授)で摂取していたという。現在もマナウスなどアマゾン地域などで、同様にお茶にして利用されることが多い。

また、日本の厚生労働省による「『統合医療』情報発信サイト(eJIM)」でも、「アメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)」んが公表しているキャッツクローの項目(4)を翻訳して紹介している。同翻訳によると、キャッツクロー(ウーニャ・ヂ・ガト)は「より最近では、ウイルス感染症(ヘルペスやHIV)、アルツハイマー病、がんおよび関節炎などのさまざまな疾患に対する民間療法または伝統療法として」使われていると紹介しているが、同時に「キャッツクローが何らかの疾患に対して有効かどうかを判断できる十分な科学的根拠はありません」とも記している。

民案療法の薬草が広く一般的に人々の生活の中に息づいているパラー州ベレン市などブラジルの北部の都市では、市営市場や街中のスーパーマーケットにも薬草のコーナーがある。

アマゾナス州マナウス市では、1882年から市民の台所として親しまれているアドウフォ・リズボア市場にも、薬草を販売する名物店舗がずらりと並び、市民に親しまれている。

マナウス市の地元ジャーナリスト、マリオ・アドウフォさんは自身が運営する「マリオ・アドウフォ・ブログ」(5)で、「多くのマナウスの人々が、科学的に製造された薬品よりも、薬用植物による治癒を信じている」と語る、薬草販売店の店主クリスチーナ・タナカさんのコメントを紹介している。

アドウフォ・リズボア市場でこの道40年のキャリアを持っているという日系ブラジル人のクリスチーナ・タナカさんは、マナウス首都圏にある農村地帯のマナカプル市にあるベラ・ヴィスタのコミュニティで薬草の知識を学んだという。

「その地域には医師はいませんでしたから、とても古くから伝わる薬草の利用法を用いて自分たちをケアしなければなりませんでした。免疫低下を防ぐ効用を持つ薬草には、さまざまな種類があります。例えばウーニャ・ヂ・ガト(キャッツクロー)、紫イペー、ジャンボラォン、これらすべてには、とりわけ抗炎症、抗菌、抗ウィルス、抗アレルギーがあると考えられています」

例えばウーニャ・ヂ・ガト(キャッツクロー)には、白血球減少症の治療に使われるアルカロイドを含む種があることで知られている。しかし、薬草を通じて病気を予防することは可能だとしても、新型コロナウィルスをズバリ退治することを示している薬草は存在しないとクリスチーナさんはいう。

「適切な投与量、使用方法、治療特性を知る必要があります」

クリスチーナさんは薬草の有効性や安全性を確保するための、化学的、薬学的、毒物学的な特性についての知識は、依然として不足しているという。

1:Valente,L.M.M.「Unha-de-gato [Uncaria tomentosa (Willd.) DC. e Uncaria guianensis (Aubl.) Gmel.]: Um Panorama Sobre seus Aspectos mais Relevantes」(「Revista Fitos」 Vol.2 Nº01 junho/setembro 2006)
2:「Planta medicinal pode ser o ponto de partida para remédio contra a dengue」(FAPERJ,22/01/2009)
3:Lunz, A.M.P.I,; Silva Júnior, E.C.II; de Oliveira, L.C.「Efeito de diferentes níveis de sombreamento no crescimento inicial de Unha de gato (Uncaria tomentosa Willd.)」(「Revista Brasileira de Plantas Medicinais」、vol.16 no.4 Botucatu Oct./Dec. 2014)
4:「Health Information : Cat’s Claw」(National Center for Complementary and Integrative Health, Last Updated: May 2020)
5:Adolfo,Mário「Cresce a procura por plantas medicinais em Manaus」https://www.blogdomarioadolfo.com.br/cresce-a-procura-de-plantas-medicinais-em-manaus/

(文/麻生雅人)

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