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南米で出産予定のコムアイ氏と胎児の旅を通して、この世界の希望と問いに向き合う映画「La Vie Cinématique 映画的人生」、クラウドファンディングを開催中

コムアイ
映画「La Vie Cinématique 映画的人生」は現在制作中(画像提供/太田光海監督)

エクアドル南部のアマゾン熱帯雨林で、先住民族のシュアール族と約1年、生活を共にした経験を自らカメラに収めたドキュメンタリー映画「カナルタ 螺旋状の夢」を2021年に発表した映画監督・文化人類学者の太田光海氏が、新作映画「La Vie Cinématique 映画的人生」の製作費および配給費一部の支援をクラウドファンディングで募っている。

現在すでに撮影が始まっているこの映画は、「水曜日のカンパネラ」の元歌唱担当としても知られるコムアイ氏が体験する出産を通じて、“生命の誕生”という生き物にとっての根源的な出来事に向き合いながら、未来への希望や人類に課せられた課題などを映し出していく作品となるという。

太田監督は前作「カナルタ 螺旋状の夢」に続き、「La Vie Cinématique 映画的人生」でもクリエイティブ・ドキュメンタリーという手法で表現に取り組んでいる。

クリエイティブ・ドキュメンタリーとは、監督のコメントによると「創作的要素を盛り込んだ映像表現」とのこと。

「クリエイティブ・ドキュメンタリーは、脚本やカメラワーク、サウンド、編集などの面で、必ずしも「事実を客観的に映す」という使命だけを求めるのではなく、製作者の創作的意図をあえて前面に押し出すことで、「現実」と呼ばれるものに対する新たな解釈を提示し、豊かで多様な視点を作り上げます」

この映画について、クラウドファンディングのサイトでは、下記のように紹介されている。

「太田光海監督(『カナルタ 螺旋状の夢』)最新作となる本作では、コムアイさんが第一子を出産するまでの彼女のダイナミックな旅に間近で並走しながら、この世界の希望と課題、そしてかけがえのない国内外の人間の営みを映し出します。ドキュメンタリーをベースにしながらも創作的要素を掛け合わせることで、高いアート性とオリジナリティを持つ映像表現に仕上げ、2024年の完成後には海外の映画祭での上映と国内外での劇場公開を目指していきます」

「この映画は、『一つの命が誕生する』という人間の営みの本質に立ち返りつつ、2022年〜2023年というコムアイさんの妊娠期間中に世の中で起きている出来事を彼女とともに旅しながらカメラに収めることで、胎児が曖昧な状態で存在する『こちら側』と『あちら側』の世界を表現します。『コムアイの胎児の視点から、この世界はどう映るのだろうか?』、これがこの映画を一言で言い表すキーコンセプトです」

映画の撮影はコムアイ氏の妊娠前後にあたる2022年11月に開始され、順調に進行しているとのこと。

現在までに、コムアイ氏の芸術祭での作品展示やパフォーマンス、日本国内の民俗文化の観察に重点が置かれ、都内での活動に加え、沖縄、山形、石川、広島、愛知など様々な地域で撮影が進められているという。

今後、5月中旬〜7月末には南米で出産を予定しているコムアイ氏に同行し、現地でのコムアイ氏の軌跡の撮影が予定されている。

映画「La Vie Cinématique 映画的人生」のクラウドファンディングのページは下記。
https://motion-gallery.net/projects/kom_i_Film

(文/麻生雅人)

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