【コパアメリカ2024】ブラジルは決勝トーナメント1回戦で敗退

2024年 07月 9日

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7月6日、米国ラスベガス都市圏のアレジアント・スタジアムで行われた2024年コパアメリカで、ブラジルはウルグアイとのPK戦で敗退した(写真/Rafael Ribeiro/CBF)

今、世界中のサッカーファンの注目はユーロ(UEFA欧州選手権)一色だと思うが、時を同じくしてコパアメリカも開催されている。

この週末(7月6日(土),7日(日))は両大会ともに準々決勝が行われ、コパアメリカでは6日にウルグアイ対ブラジルという準々決勝随一の注目の試合が行われた。

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7月6日、米国ラスベガス都市圏のアレジアント・スタジアムで行われた2024年コパアメリカで、ブラジルはウルグアイとのPK戦で敗退した(写真/Rafael Ribeiro/CBF)

最近のセレソン(ブラジル代表)は、過去に例を見ないぐらい低迷している。

今年1月新監督にドリヴァウ・ジュニオールが就任したことについては、既に当コラムでも記述したが、そんな新生セレソンの当面の最大の目標は、今回のコパアメリカで結果を出すことだった。

就任間もない今年(2024年)3月に行われた最初の2試合は国際親善試合。いずれもアウェイでヨーロッパの強豪であるイングランド、スペインと戦い、前者には1-0で勝利し、後者には3-3で引き分け、幸先よいスタートを切ることができた。

続いて6月に行われたメキシコとアメリカ合衆国との親善試合でも、前者とは3-2で勝利し、後者には1-1で引き分け、まずまずの滑り出しと言えよう。

そして、初の公式戦となったのがコパアメリカである。

グループリーグでは、初戦のコスタリカ相手に0-0で引き分けたが、2戦目はパラグアイ相手に4-1と快勝。これで乗れるかと思ったが、最後のコロンビア戦は1-1と再びドロー。セレソンのスロースターターぶりはいつものことだが、無敗とは言え勝ち切ることができず、結局1勝2分けで、コロンビアに続くグループ2位でなんとか決勝トーナメント進出を果たす形となった。

そして、決勝トーナメント1回戦となった準々決勝の相手は、古豪ウルグアイ。1勝しかできなかったブラジルとは対照的にグループリーグ3連勝で楽々と1位通過で決勝トーナメントに進んでいる。

試合はアメリカ合衆国ネバダ州パラダイスにあるアレジアント・スタジアムで行われた。

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7月6日、米国ラスベガス都市圏のアレジアント・スタジアムで行われた2024年コパアメリカで、ブラジルはウルグアイとのPK戦で敗退した(写真/Rafael Ribeiro/CBF)

ブラジルのこの日の先発は、以下の通り。

GK:アリソン(リヴァプール)

DF:ダニーロ(ユヴェントス)

   ミリトン(レアルマドリード)

   マルキーニョス(パリサンジェルマン)

   ギレルメ・アラーナ(アトレチコミネイロ)

MF:ブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル)

   ジョアン・ゴメス(ウルヴス)

   ルーカス・パケタ(ウエストハム)

FW:ハフィーニャ(バルセロナ)

   エンドリッキ(パウメイラス)

   ロドリゴ(レアルマドリード)

注目は、何といってもエンドリッキだ。この日出場停止のヴィニシウス(レアルマドリード)に代わり、トップとして今大会初めて先発出場を果たした。弱冠17歳で神童と呼ばれこの夏レアルマドリードへの加入が決まっている。

それ以外は、初戦のコスタリカ戦と同じメンバー。指揮官ドリヴァウ・ジュニオールにとって、現時点でのベストメンバーなのだろう。

一方のウルグアイは、好調のヌニェス(リヴァプール)、バルベルデ(レアルマドリード)、ウガルテ(パリサンジェルマン)といったヨーロッパの一流クラブのクラッキたちが先発に名を連ねていた。

この試合、ユーロの試合を見慣れていた目からすると、相当異質なサッカーに見えた。

とにかく激しい。特にビエルサ率いるウルグアイは、徹底したマンツーマンで、球際の激しさが相当に目立った。そのため、パスが繋がらず、肉弾戦という言葉がぴったり。まるでラグビーの試合を見ているようだ。

ブラジルはボールを保持されたとき構えるので、ウルグアイは比較的ボールを回すこともでき、全体的にウルグアイのほうがチャンスは多い印象だが、スタッツを見るとほぼ互角だった。

ブラジルの攻撃は、中盤を使うというより縦への意識が強く、何度か注目のエンドリッキにボールは入るが、ことごとくウルグアイの強力なディフェンスに阻まれた。

何とかゴールをこじ開けてほしかったが、結局90分間の戦いではスコアレスの0-0で終わった。延長戦がないレギュレーションになっていたため、勝敗の行方はPK戦にゆだねられた。

結果、ウルグアイが勝ち、ブラジルは早くもこの試合で姿を消すこととなった。

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7月6日、米国ラスベガス都市圏のアレジアント・スタジアムで行われた2024年コパアメリカで、ブラジルはウルグアイとのPK戦で敗退した(写真/Rafael Ribeiro/CBF)

新生セレソンを託されたドリヴァウ・ジュニオールの戦いは、就任半年で早くも暗礁に乗り上げた。

結局、今大会4試合を行い、1勝3分け(今試合は引分け扱い)。負けはしないが、勝ち切れなかった。選手一人ひとりは悪くない印象だが、往年のセレソンのような迫力は感じられない。

この結果だけで、監督が解任されまた一からチームを作り直す事態にならなければよいと思うが、ブラジル国内での論調は相当に厳しくなるだろう。

個人的には、今大会、監督がドリヴァウ・ジュニオールで、キャプテンがダニーロという、かつてのサントス時代の師弟コンビが見られたことがうれしかっただけに、一つでも多く勝ち進んでほしかったが・・・。

今回も結果が出ず低迷し続けているブラジルはどうなっていくのだろうか。セレソンの今後にも注目していきたい。

準決勝に勝ち進んだのは、アルゼンチン、カナダ、コロンビア、ウルグアイの4か国。残念ながらブラジルは敗れたが、アルゼンチン、ウルグアイ、コロンビアといった強豪国の戦いは続く。

華やかなユーロもよいが、泥臭いコパアメリカの先行きもサッカーファンにとっては楽しみである。

(文/コウトク)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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