実話をもとにした映画「アイム・スティル・ヒア」の主人公エウニッシ・パイヴァの記念切手、発売に
2025年 05月 27日
日本での公開日程が8月8日(金)に決定したブラジル映画「アイム・スティル・ヒア」(原題「アインダ・エストウ・アキ」)。
同映画は、軍事政権下の1970年代に、独裁政権の工作員によって自宅から連れ去られた夫であり元連邦下院議員、フーベンス・パイヴァの失踪の解明に長年取り組んだ弁護士エウニッシ・パイヴァを主人公にした、実話をもとにした物語。
フーベンスとエウニッシ夫妻の息子で、劇作家、ジャーナリストのマルセロ・フーベンス・パイヴァが2015年に発表した著作「アインダ・エストウ・アキ」をもとに、ヴァウテル・サリス(ウォルター・サレス)監督が映画化した。
ブラジルで、この映画の主人公である弁護士、活動家のエウニッシ・パイヴァに敬意を表した記念切手が発売された。連邦政府が広報した。
切手の発売は、5月20日(火)にリオデジャネイロ市グスターヴォ・カパネマ宮にて、ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領によって発表された。
この日に発売が発表された切手は2種類で、エウニッシに捧げられた切手と、ブラジル文化省の創設40周年を祝う切手の発売が公表された。
エウニッシ・パイヴァを讃えた記念切手には、パイヴァ家のアーカイヴから選ばれたエウニッシの白黒の肖像写真が使われた。写真のエウニッシは笑顔を見せており、平和の象徴でもある3羽の白い鳩に囲まれた図版となっている。肖像の左側にはエウニッシ・パイヴァの名が記されている。

切手の発表式典では、エウニッシ・パイヴァの息子であり、映画の原作となった書籍「アインダ・エストウ・アキ」の著者でもある作家マルセロ・フーベンス・パイヴァと、エウニッシの孫にあたるマルセロの長男ジョアキン・パイヴァによって、切手に消印が押された。
切手を発行したブラジル郵便局(コヘイオス)のファビアーノ・シウヴァ・ドス・サントス会長(通信省)は、マルセロ・フーベンス・パイヴァとジョアキン・パイヴァのふたりに、切手を収めたアルバムを贈呈した。
このアルバムは、「アイム・スティル・ヒア」でエウニッシ・パイヴァを演じた女優フェルナンダ・トーヘスと、映画を監督したヴァウテル・サリス(ウォルター・サレス)にも贈呈された。
ルーラ大統領は、「マルセロ・ルーベンス・パイヴァは、母親の話を振り返りながら、夫や息子、娘を失いながらも、圧政に屈することのなかった多くのブラジル人女性の物語を語ったのです」とスピーチした。
ブラジル郵便局のファビアーノ会長は、民主主義を守るための戦いに貢献したエウニッシ・パイヴァのような人々の記憶を、新しい世代に伝えることの重要性を強調した。
「我が国の歴史上、暗雲に覆いつくされていた激動の時代の中で、光明をともした偉大な女性の功績を再認識することは必要不可欠なことです。郵便局会長として、エウニッシ・パイヴァの功績を切手によって称えることは、これ以上ないほど正義を全うすることだと考えています」(ファビアーノ・シウヴァ・ドス・サントス会長)
マルセロ・フーベンス・パイヴァにとって、この記憶は、歴史を省みて、民主主義、先住民文化、未来、自由について語る機会を意味する。
「現在を検証して、未来について考えるために、過去を振り返り正しく理解することは大変重要なことです」と彼は強調した。
「今日この場にいるのは私ではなく、ここにいるのはフーベンス・パイヴァとエウニッシ・パイヴァです。彼らはここにいます。 ここにあるのは記憶です」(マルセロ・フーベンス・パイヴァ)
エウニッシ・パイヴァの切手はブラジル全国の郵便局、およびオンラインストアで購入が可能。
(文/麻生雅人)