第32回ブリュッセル国際ワインコンクールでブラジル「南ミナス地域の冬のワイン」が躍進
2025年 07月 28日

世界最大規模のワインコンクールである「ブリュッセル国際コンクール」の第32回大会(今大会の開催地は中国)で、49か国・地域から出品された7,000銘柄の中から、ブラジルのワイン17本が受賞した。ブラジルの現地メディア「UOL」が伝えている。
ブラジル南部リオグランジドスウ州のガウーシャ山地にあるジョリモン醸造所は最高賞のグランドゴールド・メダルを獲得。
南東部ミナスジェライス州サン・ゴンサロ・ド・サプカイのバルバラ・エリオドーラ醸造所は、ゴールドメダル3つを受賞した。
これまで、ブラジルではリオグランジドスウ州が、冷涼な気候や、イタリアからの移民が代々伝えてきた技術の蓄積により、高級ワインの生産に最も適した地域として認識されていた。
しかし近年、北東部・サンフランシスコ河中流域や、南東部のミナスジェライス州南部のワイナリーが国際的な賞を次々と受賞して、この伝統的な見方に挑戦している。今回の「ブリュッセル国際コンクール」では、南ミナス地域が注目を集める結果となった。
10の自治体にまたがる南ミナス地域は2025年2月11日に、国家工業所有権院(INPI)から「南ミナス地域の冬のワイン」の原産地表示を取得し、その特別な品質が認められている。
「UOL」は、ミナスジェライス州ワインの躍進を支える革新技術として、「二重剪定(逆剪定とも呼ばれる)」方法を挙げており、この手法は2000年代初頭にミナス出身の農学者ムリロ・ヘジーナ・ジ・アウブケルキ氏によって開発されたという。
この技術では、夏に主剪定を行い、冬に果実を実らせることで、乾燥して安定した気候の中で糖分・香り・フェノール化合物が凝縮された健全なブドウを育てることができるという。
従来の栽培では、リオグランジドスウ州やサンパウロ州のサン・ホッキ、ジュンジアイなどで冬の終わりから春の初めに剪定し、夏(3月まで)に収穫するのが一般的だった。しかしこの時期は高温多湿で、病害のリスクが高く、ブドウの成熟も不均一になりがちでもあるという。
「ブドウの生育サイクルを変えるという発想は前例がなく、ワインの地理を根本的に変えた」と語るのは、全国商業職業訓練機関(SENAC)サンパウロ支部のソムリエ講座のアジルソン・ガヴィオリ講師。
これにより、従来は高品質ワインの生産地(いわゆるワインベルト)とされていた南北緯30〜50度の範囲を超え、南北緯15度付近の熱帯地域でも高品質なワインが生産可能になったという。
南ミナス地域の気候はこの技術に理想的だと、バルバラ・エリオドーラ醸造所の共同経営者ギリェルミ・ベルナルデス・ネト氏は語る。
「日中は温暖で、夜は冷える冬の気候は、ブドウのゆっくりとした均衡のとれた成熟を促します。さらに、冬季の降雨の少なさは、フェノール成熟と果房の健全性に不可欠なのです」(ギリェルミ・ベルナルデス・ネト氏)
同醸造所では、最初の3年間のみ灌漑を行い、その後は完全に自然任せにすることで、根が深く張り、土壌との強い結びつき(テロワール)を形成するよう促しているという。人工的な気候制御技術や温室は一切使わず、自然のリズムに従った100%露地栽培を実践している。
(文/麻生雅人)



