ブラジルで、コーヒービジネスに関わる女性支援の取り組み進む

2023年 10月 14日

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グアリロバ農園のエリザ・パイヴァ・ラモウニエルさん(右)とガブリエウ・ラモウニエルさん(左)夫妻(撮影/麻生雅人)

アジア最大級のスペシャルティコーヒーの見本市「ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2023 (SCAJ2023)」が9月27日(水)~30日(土)、東京ビッグサイトで開催された。

第一回から参加しているブラジル連邦共和国は、今年もブラジルスペシャルティコーヒー協会(BSCA)を通じてパビリオンを出展した。

ミナスジェライス州のグアリロバ農園のエリザ・パイヴァ・ラモウニエルさんとガブリエウ・ラモウニエルさん夫妻は、4種類のコーヒー豆を紹介した。

そのなかのひとつ「ヴォヴォー・カンジーニャ」は、ナチュラル・ファーメンテーション、サンドライドのピンクブルボン種。農園で働く女性スタッフのみで全工程を手掛けた製品だ。

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女性生産者のみで作られた「ヴォヴォー・カンジーニャ」(撮影/麻生雅人)

エリザさん自らが指揮するプロジェクトを通じて作られた製品で、このプロジェクトは、女性の社会進出、経済的自立を目的として活動が始まったという。生産するのは少量生産による高品質なマイクロバッチコーヒーのみとのこと。

「ブラジルのコーヒー生産において、収穫からジム仕事に至るまで、さまざまな場面で女性が活躍しています。近年は女性の生産者も増えて、勉強会や研修会も積極的に行われています」(エリザ・パイヴァ・ラモウニエルさん)

家族経営の小さな農場では、女性が農場を支えてきた側面もあるとエリザさんは語った。

「ブラジルでは、夫婦で営んでいる小さなコーヒー農園では、農場の仕事だけでは生活できないところもあり、そのような場合、男性が外に働きに出ます。その間、実際には、農場の管理や生産の現場は妻である女性が取り仕切っているケースが少なくありません」(エリザ・パイヴァ・ラモウニエルさん)

コーヒー生産に関して現場で経験を積んでいる女性が数多くいるにもかかわらず、これまで、あまり表に出てくることはなかったという。

「農園の製品は代表の男性の名前で出ることが多く、こうした女性の存在は長く影に隠れていました。そんな女性たちが表に出てきて活躍しはじめているのです」(エリザ・パイヴァ・ラモウニエルさん)

一般社団法人インターナショナル・ウィメンズ・コーヒー・アライアンス(IWCA)日本支部もSCAJ2023に出展して、グアリロバ農園の「ヴォヴォー・カンジーニャ」だけでなく、世界各国の女性生産者が作ったコーヒーを紹介した。

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SCAJ2023に出展した一般社団法人インターナショナル・ウィメンズ・コーヒー・アライアンス(IWCA)日本支部(撮影/麻生雅人)

IWCAは、2003年に、コーヒー生産に携わる女性の生産技術と地位向上と持続可能な社会生活の実現を目的としてアメリカ合衆国でNPO法人として設立された組織。

世界各地に22~23の支部組織があり、ブラジルでは2012年10月6日、サンパウロで開催された第7回エスパッソ・ブラジル・コーヒーの会期中に、中小零細企業支援機構(セブラエ)の支援を受けて設立された。

IWCAブラジルは、コーヒーのサプライチェーンに関わる全ての女性(豆の生産からバリスタなどサービス職種まで)のための組織で、経験や知識を交換し合うフォーラムや研修、市場への参入の支援などを行い、コーヒービジネスに関わる女性の役割を可視化することを目的として掲げている。

(文/麻生雅人)