ラテン・グラミー2025、ブラジル人アーティストのノミネート作品リスト
2025年 09月 19日
ラテン・レコーディング・アカデミーは、ラテン音楽業界の優れたプロフェッショナルを称える第26回ラテン・グラミー賞のノミネートを9月17日(水)に発表した。授賞式は11月13日、アメリカ・ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで行われる。
ブラジル人アーティストの中で最も注目されているのはリニケル(写真)。「最優秀レコード賞(「アオ・テウ・ラード/Ao Teu Lado」)」「最優秀アルバム賞(「カジュ/Caju」)」「最優秀楽曲(ヴェルード・マホン/Veludo Marrom)」など、最も権威ある部門を含む7部門にノミネートされている。
ブラジル音楽の多様性は「最優秀新人賞」部門にも反映されており、ジュリアーニ・ガンボーアとスエジ・ヌニスという2人の女性歌手がノミネートされている。
他にも、パパチーニョの「MPC=ムジカ・ポプラール・カリオカ」、ヤマンドゥ・コスタ(器楽部門で2件)、アミウトン・ヂ・オランダ、ジョンガ、マルセロD2、マリーナ・セナ、ルエヂ・ルナ、フーベウなど、重要な名前が多数リストに登場している。
サンバとパゴージの分野では、アウシオーニ、マルチナーリア、ゼカ・パゴジーニョといった重鎮たちがしっかりと存在感を示している。
ブラジルのカントリー音楽セルタネージョでは、アナ・カステーラや伝説的デュオのシタォンジーニョ&ショロローがノミネートされている。
MPB(エミぺーべー)の新世代としては、ドーラ・モレレンバウン、ハケウ・ヘイス、ジャジサが登場し、若手の台頭を印象づけている。
ブラジル音楽界のアイコンのひとりミウトン・ナシメントは、アメリカ合衆国のベース奏者・歌手エスペランサ・スポルディングとの共演曲「ウン・ヴェント・パッソウ/Um Vento Passou」でノミネートされている。
今年のラテングラミー賞では、合計60部門が設けられており、新たに以下の3部門が追加された。
- 視覚メディア部門(Mídias Visuais)
- 視覚メディア向け最優秀楽曲賞(Melhor Música para Mídias Visuais)
- 最優秀ルーツ・ソング賞(Melhor Canção de Raízes)
2000年に創設されたラテングラミー賞は、音楽業界における最大級の賞のひとつ。一般部門に加え、ポルトガル語の音楽に特化した部門も設けられており、「最優秀サンバ/パゴーヂ・アルバム賞」、「最優秀MPBアルバム賞」、「最優秀ブラジル地域音楽/ルーツ音楽アルバム賞」などが含まれている。
この授賞式は、ブラジル音楽の多様性を認識する重要な場としても定着してきた。今年もアーバンポップスのジャンルからインスト音楽、セルタネージョ、サンバ、歌謡ポップ、そして新世代のMPBに至るまで、さまざまなジャンルでブラジル音楽が存在感を示している。
各賞にノミネートされているブラジル人アーティストは下記。
●リニケル Liniker 最優秀レコード賞「アオ・テウ・ラード」(カテゴリー1)
●リニケル Liniker 最優秀アルバム賞「カジュ」(カテゴリー2)
●リニケル Liniker 最優秀楽曲賞「ヴェルード・マホン」(カテゴリー3)
●ジュリアーニ・ガンボーア Juliane Gamboa 最優秀新人賞(カテゴリー4)
●スエジ・ヌニス Sued Nunes 最優秀新人賞(カテゴリー4)
●パパチーニョ Papatinho「エミペーセー(ムジカ・ポプラール・カリオカ)最優秀アーバン音楽アルバム(カテゴリー11)
●ヤマンドゥ・コスタ、マルチン・スエジ&オルケストラ・アシントマチカ Yamandu Costa, Martín Sued e Orquestra Assintomática 「サーガ」 最優秀インストゥルメンタル・アルバム賞(カテゴリー34)
●ヤマンドゥ・コスタ 「イーダ・イ・ヴォウタ」最優秀インストゥルメンタル・アルバム賞(カテゴリー34)
●アミウトン・ヂ・オランダ Hamilton De Holanda Trio 「ライヴ・イン・ニューヨークシティ」
最優秀ラテンジャズ・アルバム賞(カテゴリー39)
●リニケル Liniker 最優秀ポルトガル語コンテンポラリー・ポップ・アルバム賞「カジュ」(カテゴリー42)
●ジュリア・メストリ Julia Mestre 最優秀ポルトガル語コンテンポラリー・ポップ・アルバム賞「マラヴィリョーザメンチ・ベン」(カテゴリー42)
●マリーザ・セーナ Marina Sena 最優秀ポルトガル語コンテンポラリー・ポップ・アルバム賞「コイザス・ナトゥライス」(カテゴリー42)
●ジョンガ Djonga 最優秀ロック/オルタナティブ・アルバム賞「クアント・マイス・エウ・コモ、マイス・フォーミ・エウ・シント!」(カテゴリー43)
●ベーカー&エヴィーニャ BK’ & Evinha 最優秀ポルトガル語アーバン・パフォーマンス賞「ソ・ケロ・ヴェール」(カテゴリー44)
●ジョンガ・フィーチュアリング・ミウトン・ナシメント Djonga Featuring Milton Nascimento
最優秀ポルトガル語アーバン・パフォーマンス賞「デモーロ・ア・ドルミール」(カテゴリー44)
●リニケル Liniler 最優秀ポルトガル語アーバン・パフォーマンス賞「カジュ」(カテゴリー44)
●エミセー・アリエウ&ジウベルト・ジウ Mc Hariel & Gilberto Gil 最優秀ポルトガル語アーバン・パフォーマンス賞「ア・ダンサ(ライヴ)」(カテゴリー44)
●アウシオーニ Alcione 最優秀サンバ/パゴーヂ・アルバム賞「アウシオーニ」(カテゴリー45)
●マルセロ・デー・ドイス Marcelo D2 最優秀サンバ/パゴーヂ・アルバム賞「マヌアウ・プラチコ・ド・ノーヴォ・サンバ・トラジシオナウ Vol.2 : チア・ダルシー」(カテゴリー45)
●マルチナーリア Mart’nália 最優秀サンバ/パゴージ・アルバム賞「パゴーヂ・ダ・マルチナーリア」(カテゴリー45)
●ゼカ・パゴジーニョ Zeca Pagodinho 最優秀サンバ/パゴーヂ・アルバム賞「クアレンタ・アノス」(カテゴリー45)
●ソヒーゾ・マロート Sorriso Maroto 最優秀サンバ/パゴーヂ・アルバム賞「ソヒーゾ・エウ・ゴスト・ノ・パゴーヂ vol.3 オメナージェン・アオ・フンド・ジ・キンタウ(ロンドン録音)」(カテゴリー45)
●シンコ・ア・セッコ 5 A Seco 最優秀エミペーベー(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)/エミ・アー・ペー・ベー(ムジカ・アフロ・ポルトゥゲーザ・ブラジレイラ)アルバム賞「センチード」(カテゴリー46)
●ルエジ・ルーナ Luedji Luna 最優秀エミペーベー(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)/エミ・アー・ペー・ベー(ムジカ・アフロ・ポルトゥゲーザ・ブラジレイラ)アルバム賞「ウン・マール・プラ・カーダ・ウン」(カテゴリー46)
●ドーラ・モレレンバウン Dora Morelenbaum 最優秀エミペーベー(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)/エミ・アー・ペー・ベー(ムジカ・アフロ・ポルトゥゲーザ・ブラジレイラ)アルバム賞「ピッキ」(カテゴリー46)
●ハケウ・ヘイス Rachel Reis 最優秀エミペーベー(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)/エミ・アー・ペー・ベー(ムジカ・アフロ・ポルトゥゲーザ・ブラジレイラ)アルバム賞「ヂヴィーナ・カスカ」(カテゴリー46)
●フーベウ Rubel 最優秀エミペーベー(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)/エミ・アー・ペー・ベー(ムジカ・アフロ・ポルトゥゲーザ・ブラジレイラ)アルバム賞「ベレーザ、マス・アゴーラ・ア・ジェンチ・ファス・オ・キ・コン・イッソ?」(カテゴリー46)
●アナ・カステーラ Ana Castela 最優秀セルタネージョ・アルバム賞「レッツ・ゴー・ホデオ」(カテゴリー47)
●シタォンジーニョ&ショロロー Chitãozinho & Xororó 最優秀セルタネージョ・アルバム賞「ジョゼー&ドゥルヴァウ」(カテゴリー47)
●レオ・フォゲッチ Léo Foguete 最優秀セルタネージョ・アルバム賞「オブリガード・デウス」(カテゴリー47)
●ラウアナ・プラード Lauana Prado 最優秀セルタネージョ・アルバム賞「トランセンジ(ライヴ/デラックス盤)」(カテゴリー47)
●チエヒー Tierry 最優秀セルタネージョ・アルバム賞「ド・ヴェーリョ・テスタメント」(カテゴリー47)
●ジョイシ・アリーニ Joyce Alane 最優秀ポルトガル語ルーツ・アルバム賞「カーザ・コラサォン」(カテゴリー48)
●ナターシャ・ファウカォン Natascha Falcão 最優秀ポルトガル語ルーツ・アルバム賞「ウニヴェルソ・ヂ・パイシャォン」(カテゴリー48)
●フィッチ Fitti 最優秀ポルトガル語ルーツ・アルバム賞「トランセスペシアウ」(カテゴリー48)
●ジョアン・ゴメス、メストリーニョ・イ・ジョタ・ペー João Gomes, Mestrinho e Jota.pê 最優秀ポルトガル語ルーツ・アルバム賞「ドミンギーニョ」(カテゴリー48)
●ジュリア・メストリ Julia Mestre(ソングライター)最優秀ポルトガル語楽曲賞「マラヴィリョーザメンチ・ベン」(カテゴリー49)
●マリーナ・セナ Marina Sena (ソングライター) 最優秀ポルトガル語楽曲賞「オウロ・ヂ・トーロ」(カテゴリー49)
●ゼー・イバハ Zé Ibarra (ソングライター)最優秀ポルトガル語楽曲賞「トランシ」(カテゴリー49)
●マルシオ・ボルジェス&ミウトン・ナシメント Marcio Borges & Milton Nascimento (ソングライター) (Milton Nascimento & Esperanza Spalding Featuring Paul Simon)最優秀ポルトガル語楽曲賞 「ウン・ヴェント・パッソウ」(カテゴリー49)
●リニケル Liniker(ソングライター) 最優秀ポルトガル語楽曲賞「ヴェルード・マホン」(カテゴリー49)
●アントニオ・カラメロ、マリブ Antonio Caramelo, Malibu 最優秀児童向けアルバム賞「アヴェントゥーラス・ヂ・カラメロ」(カテゴリー50)
●パラーヴラ・カンターダ Palavra Cantada 最優秀児童向けアルバム賞「セーナス・インファンチス」(カテゴリー50)
●サンパウロ・チェンバー・ソロイスツ ão Paulo Chamber Soloists 最優秀クラシック音楽アルバム賞「ハダメス」(カテゴリー51)
●ハファエウ・ベッキ&フェリッピ・モンタナーロ Rafael Beck & Felipe Montanaro 最優秀編曲賞「サパート・ヴェーリョ」(カテゴリー54)
●ジョアン・フェヘイラ João Ferreira ソングライター・オブ・ジ・イヤー(カテゴリー56)
•「ア・ジェンチ・ポジ・サイール・デッサ」 (ヴィトール・ケリー)
•「アグア・ヴィーヴァ」(アナヴィトーリア)
•「アス・デスヴァンタージェンス・ジ・アマール・アウゲン・キ・モーラ・ロンジ」(ラグン)
•「フローリス・ダ・フア」(サムエウ・ホーザ)
●「カジュ」 Caju (リニケル) 最優秀録音エンジニア・アルバム賞(カテゴリー57)
●「エンクアント・オス・ヂストライードス・アマン」(ペドロ・エミリオ) 最優秀録音エンジニア・アルバム賞(カテゴリー57)
●「ラヴ・コール・ポーター」(アントニオ・アドウフォ) 最優秀録音エンジニア・アルバム賞(カテゴリー57)
●マテウス・スチルメール Matheus Stiirmer プロデューサー・オブ・ジ・イヤー(カテゴリー58)
•「エンクアント・オス・ヂストライードス・アマン」(ペドロ・エミリオ)
•「プロファーノ」(ガブリエウ・ナンデス)
•「セグレード・クリシェ」(ジアーナ)
•「ヴェラネイオ」(ヴェラネイオ)
●「ヂアマンチス、ラグリマス・イ・ホストス・パラ・エスケッセール」(ベーカー)、監督フェリッペ・ヴェラス 最優秀短編ミュージックビデオ賞(カテゴリー59)
●「ミウトン・ビトゥッカ・ナシメント」最優秀長編ミュージックビデオ賞(カテゴリー60)
(文/麻生雅人)