COP30、気候会議で伝統的諸民族の参加は過去最大

2025年 11月 16日

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11月11日、パラー州ベレン市。COP先住民村開幕式で登壇したソニア・グアジャジャーラ先住民相と先住民指導者ハオニ氏(写真/Bruno Peres/Agência Brasil)

前例のない連携のもと、ブラジル先住民運動は連邦政府の支援を受けて、第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)の公式会場での活動の場に約400人の指導者を参加させることを実現した。

さらに、パラー州の州都ベレンには3千人の先住民が集うCOP先住民村が設置され、ラテンアメリカ、アフリカ、アジア各地の伝統的諸民族も参加している。

会期中には、さらに2千人の先住民がベレン市内各所に滞在している。先住民省(MPI)およびブラジル先住民連合(Apib)の評価によると、これはこれまでの気候会議の中で先住民族参加は最大規模となっている。

「多くの人はアマゾンのこと、世界最大の熱帯林のことを耳にしたことはあるでしょう。しかし、この森を守るには命がかかっていること、そしてこのアマゾンが土地や自然の略奪的利用によって侵害され、暴力を受け、破壊されていることを知らないのです。私たちがベレン、COP30、そして世界に伝えるメッセージは――先住民の存在なくして解決はあり得ない、ということです」

と、ソニア・グアジャジャーラ先住民相は11月11日(火)夜に行われたCOP先住民村の開幕式で語った。

11月21日まで一般公開されるCOP先住民村は、パラー連邦大学(UFPA)の付属学校に設置され、首都ベレン市東部のテーハ・フィルミ地区に位置している。会場は一連の改修と整備を経て、宿泊施設、舞台、バイオエコノミーの展示会、討論用のジオデシック型スペース、先住民の伝統的治療や祖先の医療儀式を行うための精神的な家屋を備えている。

ブラジル先住民連合(Apib)およびブラジル・アマゾン先住民族組織連合(Coiab)の執行コーディネーターであるクレベル・カリプナ氏はアジェンシア・ブラジルの取材に対し「私たちは、自分たちの領域にある村のダイナミクスをある程度再現できる空間を望んでいました。木々に囲まれ、心地よく人々を迎え入れる場であり、同時に宿泊や食事、睡眠、討論やその他の活動を行える場でもあるのです」と語った。

COP30に向けた先住民社会の参加プロセスは、ブラジルが議長国を務める会議の取り組みの一環として設けられたイニシアチブ「諸民族の円卓」に組み込まれている。ブラジル国内361の民族から2千人の先住民が事前の研修に参加して、そのうち約400人が正式に登録され、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の公式交渉エリア「ブルーゾーン」に直接参加することが認められている。

今回のCOP史上最大規模となる先住民の参加によって、先住民族の代表者たちは、「森林保護を気候危機緩和の根本的な行動として認めること」、「領域の画定を気候目標に組み込むこと」、「直接的な資金供給の仕組みを確立し、資源を先住民に直接届けること」を期待している。

これらの要求は、先住民が気候危機の最前線に立ち、持続可能な解決策の主体であることを国際社会に示すものとなっている。

「私たちは、このCOPから有意義なレガシーを引き出したいと考えています。各国の指導者が先住民領域の画定と保護に対する責務を負うというレガシーです。それは先住民領域だけでなく、キロンボーラ(逃亡奴隷を中心に、先住民や他の集団も加わって形成された共同体の子孫の人々)や伝統的共同体の領域も含みます。今日世界が直面している気候緊急事態に対抗するための、実効的な政策として位置づけられるべきものです。これこそが私たちの望む最大のレガシーなのです」(クレベル・カリプナ氏)

「私たちは世界に、自然や母なる大地と持続可能に関わる方法を示し、地球全体を守るという姿勢を伝えたいのです」(クレベル・カリプナ氏)

COP30における先住民の存在感は、公式交渉の場にとどまらず、並行プログラムにも及んでいる。

代表的な取り組みのひとつが「マラカーの家」で、これは先住民ネットワークが企画した空間で、文化活動や座談会が数多く実施されている。

また、ベレン市では11月13日から19日まで、COP30と並行して「、映像と音の博物館で「大地の声映画祭」が開催されている。同映画祭は第10回アマゾニア映画祭の一環として企画されたもので、この場を、伝統的な知恵を共有しながら、対話を行い、共に祝う空間へと変えることを目的としている。

映画祭は国立先住民博物館(MNPI)が主催し、メカロンフィルムス、ブラジルアマゾン文化機構、人々の博物館の協力で実現した。映画祭は、映画を先住民の土地や文化的空間の延長として捉え、未来を共同体として形づけ、芸術とことばを気候正義に結びつけることを提案している。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)