SNSで話題の新飲料「ギルティ炭酸 NOPE(ノープ)」にも使われるアマゾン原産の果実「ガラナ」とは

2026年 03月 24日

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ガラナエキスを使用した飲料。世界のガラナ市場は2025年に80億1,630万ドルと評価されており、2035年には133億3,000万ドルに達する見通(撮影/麻生雅人)

3月24日(火)、サントリー食品インターナショナルが、「ギルティ炭酸 NOPE(ノープ)」を発売した。「国内におけるストレス社会化が進行する中で、健康志向とは対極にある、後ろめたさを感じつつも、つい自分を甘やかしてしまう“ギルティ消費”に着目した、甘濃く“やみつき”になるおいしさの新炭酸飲料」という位置づけで発売されている。

サントリーによると「完熟フルーツやスパイスなど、99種以上のフレーバーを掛け合わせ、複層的な香りや味わいを実現した」というこの製品は、「甘味・酸味だけでなく、苦味・旨味・塩味も配合し、五味をしっかり楽しめる中味設計」とされ、「甘濃く、また飲みたくなるような、“やみつき”になる味わい」を狙っているとのこと。

原材料として表示されているのは、果糖ぶどう糖液糖(国内製造)、ガラナエキス/炭酸、香料、カラメル色素、酸味料、保存料(安息香酸Na)、グルタミン酸Na、カフェイン、チロシン、トリプトファン、ナイアシン、ビタミンB6。

主要な原材料となっているガラナエキスの味をベースにしながら、多様なフレーバーの組み合わせで複雑な味を作り上げている。ベリー系やカシス系の果実の風味が印象に残る。ただしスパイスの風味はあくまで香料によるもので、植物由来の果実として使われているのはガラナのみのようだ。

日本でもガラナエキスを使った炭酸飲料「ガラナ」をはじめ、数々のエナジードリンクの原材料としても親しまれているガラナ(Paullinia cupana)は、ブラジルの国民的な果実の一つ。アマゾン原産のつる植物で、サクランボほどの大きさの赤色の果皮を持った果実がなる。

この赤い果皮が裂け、中から、白い仮種皮に包まれた黒い種子が顔をのぞかせる様子は、まるで人間の目のようだ。この風貌が果実の名の由来となった。ガラナは先住民族の言語であるワラナ(wara’ná)に由来しており、「人の目のような果実」を意味する。ガラナの果実の風貌は、黒ではなく青い目ではあるが、関西万博のミャクミャクの目をイメージするとわかりやすい。

先住民はガラナが持つ刺激作用や薬効を健康維持や宗教的儀礼に利用してきた。アマゾニア持続可能基金(FAS)によると、アマゾナス州中部に流れるマデイラ川流域に居住している先住民族サテレ=マウェ族は、ガラナの伝統の守り手として、この植物を食料や飲料として利用するだけでなく、自然との精神的な結びつきを祝う儀式にも用いてきたという。ガラナは、共同体の結束、健康、そしてアマゾンの生物多様性への敬意を象徴する祖先からの遺産であり、今もその価値観は世代を超えて受け継がれている。

先住民族の伝統が色濃く息づくアマゾン地域では、滋養強壮や精力剤としても親しまれている。先住民族のみならず、アマゾナス州の小規模農家によって伝統的に栽培されてきたガラナは、近年ブラジル国内で栽培面積を拡大しており、とりわけアマゾナス州、バイーア州、マトグロッソ州で生産が増えている。国内外での飲料、製薬、化粧品産業によるガラナ種子の需要拡大が、その背景にある。

用途は多様だが、なんといっても最もポピュラーなのが飲料だろう。果実の種から抽出されたエキスを使った炭酸飲料「ガラナ」は、ブラジル全国で消費されている国民的飲料。日本でも「キリン メッツ ガラナ」や「コアップガラナ」など、ガラナ飲料は北海道のご当地飲料として親しまれているが、ここで使われているガラナエキスも、ブラジルから輸入されたガラナの成分が原材料となっている。

また、同じくアマゾン原産の果実アサイーも、加糖された製品(パルプやアイスクリームなど)ではガラナシロップが広く使われている。これはブラジル都市部でのアサイーの消費スタイルがそのまま伝わったものだ。

先住民族と、その伝統を受け継いでいる、パラー州などアマゾン地域では、日々の食事のつけあわせとして、甘くしないアサイーの搾り汁を摂取している。1980~90年代まではアマゾン地域以外ではあまり知られていなかったアサイーがブラジル全国に広く知られるきっかけとなったのが、パラー州が故郷であるグレイシー一家だ。国内各地に道場を開いて柔術を広めると同時に、グレイシー一家が食していた栄養補助食としてのアサイーも全国に広まったという経緯がある。このとき、グレイシー一家のレシピで甘味に使われていたのがガラナだったといわれている。

「グローバル・リサーチ・コンサルティング」が今年3月に発表したレポートによると、世界のガラナ市場は2025年に80億1,630万ドルと評価されており、2035年には133億3,000万ドルに達する見通しで、2026年から2035年の予測期間における年平均成長率は5.8%と見込まれているという。

この市場拡大の背景には、天然のエネルギー成分、機能性飲料、栄養補助食品に対する消費者需要の高まりがあるという。具体的な理由として、植物由来の刺激成分の採用拡大、合成カフェインに代わる天然由来の代替品への関心の高まりが挙げられている。

同レポートは、「規制当局が品質、安全性、標準化された製剤を重視する中で、ガラナは世界の健康・ウェルネス・エネルギー関連製品のポートフォリオにおいて、欠かせない原料となりつつある」と指摘している。

(文/麻生雅人)