コロンビアの元教師が俳優に転身、映画賞で注目集める

2026年 05月 10日

ubeimar_rios_gomez_un_poeta

映画「ある詩人」に主演したウベイマール・リオス・ゴメス(左)(画像提供/Prêmio Platino Xcaret)

コロンビア出身のウベイマール・リオス・ゴメスの人生から、“教室”が消えた。これまで映画の現場に足を踏み入れたこともなかった高校教師は、シモン・メサ監督の『ある詩人(Um Poeta)』で主演に抜擢され、俳優としての道を歩むため、5月初旬に辞職を決断した。新たな仕事は日増しに彼の時間とエネルギーを求めている。

5月9日(土)、リオスはメキシコ・カンクンに滞在し、プラティノ賞の主演男優賞部門に臨む。ブラジルのヴァギネル・モウラ(8日、一般投票で主演男優賞を受賞)や、今回の第13回授賞式で名誉プラティノ賞を受けたアルゼンチンのギレルモ・フランチェラといった著名俳優たちと肩を並べる形だ。プラティノ賞は“イベロアメリカのオスカー”とも称される映画賞である。

「生徒の大半はまだ知りません」とリオスはアジェンシア・ブラジルに語った。「ここに来る前まで、ごく普通に働いていました。来週はあと3日だけ授業をして、それで終わりです」。11歳から20歳まで幅広い年齢の生徒たちに対し、彼はまだこの“転身”を告げていないという。

55歳のリオスは、知人が脚本を読み「この人物像に合う」と直感して監督に推薦するまで、プロとして演技をした経験が一度もなかった。自らの力量に半信半疑のままオーディションを受けると、結果は合格。スクリーン上でもその選択は裏付けられ、長編は2025年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を獲得した。

それ以来、リオスはカメラの前に立つことに魅了されていった。映画公開後は、コロンビア公共テレビ局セニャル・コロンビアの番組「コロンビア・ヴェルソ・ア・ヴェルソ」で共同司会を務めている。無名の詩人たちの物語を各地で掘り起こし、その活動を紹介する企画だ。

この経験は『ある詩人(Um Poeta)』の内容とも深く響き合う。劇中でリオスが演じるのは、挫折した作家。彼はユルレイディス・ヴァレンシアが演じる若い生徒ユルラディの文学的才能を見いだす。祖母に育てられ、家事に追われる厳しい生活環境に置かれた少女の未来を後押ししようとするが、主人公自身の不安定な振る舞いが影を落とし、二人の関係は思わぬ混乱へと傾いていく。

30年以上にわたり教壇に立ち、貧困層や社会的に脆弱な生徒が多数を占める学校で働いてきたリオスは(「生徒の35%はベネズエラ出身」と語る)、映画もまた教育における貧困の影響を浮き彫りにしていると指摘する。

「空腹では勉強するのは本当に難しい。多くの子どもたちは――こう言うのは胸が痛みますが――食べるために学校へ来ているのです」と語った。「だから勉強はどうしても二の次になる。まずは生き延びることが最優先です」。

教室を離れることになっても、彼は詩が持つ変革の力、そして現代の緊張が渦巻く社会の中で教師が果たす役割を信じ続けている。

「大事なのは、学問的な側面だけでなく、人間を理解し、愛情を示すことです」とリオスは言う。「先生方、成績だけを気にしないでください。情熱を持って仕事をすれば、その情熱は必ず伝わります」。

国際的な俳優となった今、リオスは映画の新たなプロジェクトにも前向きだ。文化マネージメントの仕事や、彼が暮らすメデジンを中心とする農業地帯・東部アンティオキア地域で活動するロックバンドとの両立も視野に入れている。

「人生そのものは変わっていません。私は同じ人間で、同じ長所、同じ欠点、同じ内なる葛藤を抱えています。ただ、人生のリズムが変わり、こうしてここまで来ることになったのです」と語った。

2025年のプラティノ賞では、ブラジルが主要部門を席巻した。ヴァウテル・サレス監督の『アイム・スティル・ヒア(Ainda Estou Aqui)』が作品賞、監督賞、そしてフェルナンダ・トーへスの主演女優賞を受賞している。

今年はヴァギネル・モウラの主演男優賞ノミネーションに加え、ブラジル勢は複数部門で存在感を示す。すでに技術部門で3冠を獲得している『シークレット・エージェント(O Agente Secreto)』が、長編フィクション作品賞、脚本賞、監督賞に名を連ねるほか、マリアーナ・ブレナン監督の『マナス(Manas)』が新人長編作品賞にノミネート。さらに、ペトラ・コスタ監督の『熱帯の黙示録(Apocalipse nos Trópicos)』がイベロアメリカ最優秀ドキュメンタリー賞を争う。

受賞結果は、ブラジリア時間22時から始まるプラティノ賞のガラセレモニーで発表される予定だ。『シークレット・エージェント(O Agente Secreto)』の映画監督クレーベル・メンドンサ・フィーリョとプロデューサーのエミリー・レスクローも会場に出席する。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)