打楽器奏者アイルト・モレイラの復活作、遂に完成

2026年 05月 11日

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アイルト・モレイラ。ヒカルド・バセラールが運営するジャスミン・スタジオにて(写真:Maria Bacelar)

以前から制作が伝えられていたアイルト・モレイラの最新アルバムが完成、4月末に配信が開始された。

1960年代末、先に渡米していたフローラ・プリンを追う形でアメリカ合衆国へ渡った打楽器奏者アイルト・モレイラは、公私にわたるパートナーとなったフローラと共に米国のジャズ界で活躍。

マイルス・デイヴィスのセッションやウェザー・リポートでの演奏や、フローラと共に参加したリターン・トゥ・フォーエヴァーなどの活動を通じて、クロスオーヴァー・サウンドの確立と発展に大きく寄与している。米国ではアイアート(Eye-arto)と呼ばれていた。

以来、米国のジャズ界で長く活動してきたアイルトは、先にブラジルに戻っていたフローラを追う形で2010年代にブラジルに帰国。以降、祖国に根を下ろして活動を続けていたが、2022年に生死の境をさまようほどの重度の肺炎を患い、闘病生活を余儀なくされていた。

そんなアイルトの復活のニュースが届けられたのが2025年の秋のこと。アイルト・モレイラとフローラ・プリンのドキュメンタリー映画が製作中であること、映画の監督が「エリス&トン」の共同監督を務めたジョン・トビ・アズライであること、そして、この映画の製作を通じて、映画の音楽監督を務めるヒカルド・バセラールと出会ったアイルトとフローラが、バセラールとの共同プロジェクトとして新作アルバムの制作に入っていることなどが伝えられた。

ブラジル国内のメディアでは、フローラのアルバムが製作されていると伝えられていたが、今回発表されたアルバム『Maracanós(マラカノス)』は、アイルトとバセラールの双頭名義作品で、フローラはフィーチュアリング・アーティストという位置づけになっている。

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ヒカルド・バセラールとアイルト・モレイラ。バセラールが運営するジャスミン・スタジオにて(写真:Maria Bacelar)

『Maracanós(マラカノス)』はアイルトの打楽器、マルチ奏者であるバセラールの演奏を軸にしたインストゥルメンタルを基本とした作品で、何名かのミュージシャンが参加しているほか、唯一のヴォーカル曲「Mestre Novo da Guiné(メストリ・ノーヴォ・ダ・ギネー)」では、ルイス・リマ・ヴェルジがヴォーカルで参加している。「Voo da Tarde(ヴォー・ダ・タルジ)」では、フローラが得意のスキャットを披露している。ジャズ~フュージョンからプログレッシヴロック調の曲まで計8曲が収められており、制作は、北東部セアラー州にあるバセラールが所有するスタジオで行われた。

アルバムは、各種プラットフォームにて配信中(https://ffm.to/marcanos)。

(文/麻生雅人)