連邦警察、『ダークホース』資金疑惑を調査 ボウソナーロ兄弟の関与も焦点

2026年 09月 14日

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映画『ダークホース』の資金調達に関与したとされるメッセージが公開されたフラヴィオ・ボウソナーロ上院議員。2025年9月11日撮影(写真:Bruno Peres/Agência Brasil)

【ブラジリア 9月12日】 ブラジル連邦警察(PF)が作成した、映画『ダークホース』の資金調達に関する捜査報告書には、フラヴィオ・ボウソナーロ上院議員(自由党/リオデジャネイロ)と、旧マステール銀行オーナーの銀行家ダニエウ・ヴォルカーロとの間で交わされたメッセージの詳細が記録されている。『ダークホース』はジャイール・ボウソナーロ元大統領の生涯を描く伝記映画で、同報告書は今回公開された捜査資料の一部だ。

報告書はまた、両者が直接面会した可能性や、エドゥアルド・ボウソナーロ元下院議員(自由党/サンパウロ)が資金調達の調整に関与した疑いについても言及している。

連邦警察によると、フラヴィオ議員は映画制作のためにヴォルカーロに1億3,100万レアルを求め、そのうち 6,000万レアルが支払われたとされる。2025年8月には、資金の仲介役とされる広告マン、チアーゴ・ミランダが、遅延している支払いについてヴォルカーロに催促していた。

<面会の可能性>
連邦警察が確認した最初の直接メッセージのやり取りは、2025年8月20日に記録されている。ヴォルカーロが「21日でどうか」と送信し、フラヴィオ議員が「了解」と返信。その後、フラヴィオ議員はドナルド・トランプ米大統領のスタンプを送信し、ヴォルカーロは「www」「イイネ」と応じた。フラヴィオ議員は続けて「向かっている」と送っている。

連邦警察は、このやり取りが 同日に両者が直接会った可能性を示すものだと分析している。

捜査はさらに、他の面会の可能性も指摘する。

2025年9月には、ミランダがヴォルカーロに対し「フラヴィオ議員が映画について直接話したい」と伝えたとされる。

10月には、フラヴィオ議員がヴォルカーロを映画制作チームとの夕食会(11月6日開催予定)に招待していた。

<「ジム・カヴィーゼルに未払いなんてあり得ない」>
2025年9月8日、フラヴィオ議員は再びヴォルカーロに連絡し、遅延している支払いについて懸念を示した。報告書によると、議員は音声メッセージで次のように述べている。

「映画が今すごく重要な局面にあって、支払いがかなり滞ってるから、みんなピリピリしてるんだ。映画のために描いていた夢とは逆の結果になりかねない。ジム・カヴィーゼルやサイラスみたいな世界的俳優に“未払い”なんてしたら、最悪だろ?」

映画には米国俳優ジム・カヴィーゼルらが出演予定とされていた。

<「コンプライアンス・ゼロ作戦」前日の連絡>
2025年11月16日、連邦警察による「コンプライアンス・ゼロ作戦」が発動される前日のこと。フラヴィオ議員はヴォルカーロに電話を試みたが、銀行家は「どうした、兄弟」と返信し、教会にいると伝えた。

続けてフラヴィオ議員は次のようにメッセージを送った。

「兄弟、俺はいつでも、これからもずっとお前の味方だ。俺たちの間に曖昧なことはない。ちょっと助言が欲しいんだ! よろしく!」

<米国への資金移動も捜査対象>
連邦警察は、資金の流れについても調査を進めている。金融情報分析報告書(RIF)によると、ブラジルの「Entre Investimentos」社から米国の「Havengate Development Fund LP」へ少なくとも 7回の送金が行われ、総額は1,233万ドルに達している。

報告書は次のように指摘する。

「同ファンドは法的には活動中だったが、約4年間実質的に休眠状態だった。2025年2月13日、映画の資金として Entre Investimentos から最初の200万ドルを受け取るまで、公開された活動記録は存在しなかった」

Havengate ファンドは、移民法専門の弁護士パウロ・カリストが管理しており、彼はエドゥアルド・ボウソナーロの側近とされる。連邦警察は、米国に送金された資金がエドゥアルド議員の米国滞在費用にも使われた可能性を調査している。

<エドゥアルドのメッセージ>
2025年3月、チアーゴ・ミランダは、エドゥアルド・ボウソナーロとの会話のスクリーンショットをダニエウ・ヴォルカーロに送付した。メッセージの中で、エドゥアルド元下院議員は、米国への資金移転について具体的に言及していた。

エドゥアルドは次のように述べている。

「理想的には、資金はすでに米国にあるべきだ。米国から米国への送金なら問題ない。もしブラジル企業が米国に送金する場合、その企業が我々が例として挙げたような大きな予算規模を持っていなければ、問題が生じる。少しずつ送金する必要があり、それには約6か月かかると見積もっている」

連邦検察庁(PGR)も、資金の動きを分析する中でこのやり取りを引用している。

<争点となっている文書類>
連邦警察(PF)は、映画制作会社 Go Up Entertainment LLC に関連する、
会社登記書類
会計資料
税務記録
銀行取引情報
契約書類
などの提出を求めている。同社は映画『ダークホース』の制作に関わる企業だ。

これに対し、同社の主要株主を名乗るマイケル・デイビスは、米国に保管されている文書をブラジル当局に直接送付することは、国際的な司法共助の手続きを経ずに行うべきではないと回答した。

連邦警察によれば、これらの文書は
資金の出所
資金の流れ
最終的な受益者
を解明する上で不可欠だという。

<ボウソナーロ兄弟は疑惑を否定>
フラヴィオ・ボウソナーロ上院議員とエドゥアルド・ボウソナーロ元下院議員は、映画『ダークホース』の資金調達に関する不正疑惑を否定している。

今回の捜査は、旧マステール銀行をめぐる一連の不正を調べる「マステール銀行事件」の一部として進められている。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)