決選投票迫るブラジル、学生団体が民主主義防衛を掲げ全国で抗議行動。ボウソナーロ候補の対米従属的資源外交や反民主主義的政策に異議の声
2026年 10月 19日
【サンパウロ 10月18日 12:45】 ブラジル大統領選挙の決選投票を目前に控え、国の行方や民主的諸制度、教育へのリスクに対する懸念が、学生運動による街頭行動の再開を後押ししている。数千人規模の学生が各都市でデモを行い、民主主義と公教育を守るために声を上げるとともに、候補者とその政策に対する立場を示している。
アジェンシア・ブラジルのインタビューで、全国学生連合(UNE)のビアンカ・ボルジェス会長は、全国で行われている行動における大学生や高校生の主導的役割を強調し、ブラジルの学生が歴史的に国の政治の決定的局面で果たしてきた役割を振り返った。
その中で彼女は、軍事独裁への抵抗、直接選挙を求める動き、フェルナンド・コロール大統領の弾劾、そしてジャイール・ボウソナーロ政権への反対運動などを例に挙げた。
「今、私たちが目にしているのは、単なる選挙ではなく、真にこの国の未来が危険にさらされているという状況です」とビアンカは述べ、教育に反対し、後退をもたらす可能性のある権威主義的政府の台頭を懸念するUNEの評価を語った。
UNE会長はまた、公立大学が直面する具体的な課題として、慢性的な資金不足、学生支援の拡充の必要性、低所得の学生が学業を継続できる条件の確保などを挙げた。
インタビューの中で、ビアンカは民主主義の尊重を、公立大学の価値向上や若者・労働者階級の生活条件改善と結びつけて語った。さらに、選挙期間を超えて学生組織を維持する重要性を強調し、集団的な参加こそが要求を権利へと転換するために不可欠だと主張した。
「学生たちは、権利、教育、主権、そしてブラジルの民主主義を守るため、この脅威に立ち向かって立ち上がっています。これはブラジルの学生の本来的な使命であり、UNEの創設以来ずっと続いてきたことです」と彼女は強調した。
先週金曜日、選挙高等裁判所(TSE)のリカルド・ヴィラス・ボアス・クエヴァ判事は、大統領候補フラヴィオ・ボウソナーロ(PL)陣営が求めていた、労働組合、社会運動、学生団体の指導者54人(UNEを含む)のSNS投稿を禁止する申請を却下した。
サンパウロ連邦教育機関(IFSP)の文学専攻の学生であるビアンカ・ボルジェス(25)は、イタペヴィ生まれ、プライア・グランジ育ち。2025〜2027年の任期で全国学生連合(UNE)会長に就任した。
ビアンカ・ボルジェスが学生運動の道を歩み始めたのは14歳のとき、プライア・グランジの州立技術学校(Etec)でクラス代表を務め、仲間とともに生徒会を創設したことがきっかけだった。
2017年に入学したサンパウロ大学(USP)で法学を修め、同大学の自由中央学生委員会(DCE)で総コーディネーターを務め、さらに学術団体「XI de Agosto」の総責任者も担った。
また、サンパウロ州学生連合(UEE-SP)の会長として、タルシジオ・ジ・フレイタス州知事による州公教育の民営化・軍事化提案に対する抵抗運動を主導した。さらに、ラテンアメリカ・カリブ学生機構(Oclae)にも参加している。
<インタビュー>
Agência Brasil:
UNEや学生団体がこの時期に再び街頭へ出る決断をした理由は何ですか? どのような出来事がこの動員を後押ししたのでしょうか?
Bianca Borges:
今、私たちが目にしているのは単なる選挙ではなく、真にこの国の未来が危険にさらされているという状況です。フラヴィオ・ボウソナーロの当選は、教育に反対し、権利を奪い、後退をもたらす権威主義的政府の台頭につながる可能性があります。学生たちは、この脅威に対して、権利、教育、主権、そしてブラジルの民主主義を守るために立ち上がっています。これはブラジルの学生の本来的な使命であり、UNEの創設以来ずっと続いてきたことです。
私たちは「石油は我々のもの」キャンペーンで、ブラジルの主権と天然資源を守るために立ち上がりました。軍事独裁に立ち向かい、直接選挙を求める運動を築き、コロール退陣、テメル退陣、ジャイール・ボウソナーロ退陣の運動を行ってきました。そして今、私たちが街頭に出ているのは、ルーラ大統領の再選が、私たちが望むブラジルの未来にとって不可欠だからです。ボウソナリズムは抽象的な敵ではなく、極めて具体的な敵です。私たちはこの4年間、その政府と対峙してきましたし、彼らが再び権力に戻ることを受け入れません。
Agência Brasil:
現在の状況は、1968年の軍事独裁下で行われた「10万人の行進」とつながりがあると考えますか?
Bianca Borges:
間違いなく関係があります。私たちは10月7日にリオ市中心部で、カンデラリアからシネランジアまでの非常に美しい行進を行いました。参加者の中には、過去の学生運動や政治の世代を経験した人々もいて、「10万人の行進と同じくらいの人がいた」と語っていました。私たちのスピーチでは、この歴史的瞬間を称え、エジソン・ルイス——権威主義に抗い、権利と教育のために戦った学生運動の象徴——を讃えました。今、私たちの怒りは、全国で広がる抗議行動へと転化しています。
Agência Brasil:
誰がこの行動に参加していますか? 学生の参加傾向や政治への関心に変化はありますか?
Bianca Borges:
今回の動きは大学から始まりました。第1回投票の結果が発表された翌週の月曜日、最初の行動はニテロイのフルミネンシ連邦大学(UFF)で行われました。本来はルーラ大統領支持のキャンペーンや投票呼びかけの行動を学生が話し合うための集会でしたが、予想を超える規模になりました。1,000人以上が集まり、講堂に入りきらず、学生たちは通りへ出ました。通りではさらに数千人が加わり、これが全国的な大規模運動の最初の火花となりました。
主役は大学生であり、学術センターや中央学生委員会によって組織されていますが、嬉しいことに高校生の自発的な参加も増えています。先ほど述べたカンデラリアの行進は、リオの連邦校「コレージオ・ペドロII」の学生たちが最初に呼びかけたものでした。
生徒会もこの動きに加わっています。力を合わせることが不可欠であり、私たちはそれを実現できていると感じています。13日(火)にはブラジリアで非常に大規模なデモを行い、学生が多数を占めつつも、労働者階級など他の社会層も加わり、これが極めて重要な力となっています。
Agência Brasil:
現在、学生たちを動員している主な要求は何でしょうか?
Bianca Borges:
2019年にジャイール・ボウソナーロが政権を引き継いだ直後、教育分野で最初に提示された施策の一つが「Future-se」でした。これは、私たちが考えるに、大学の公共性を損ない、大学を支える三本柱——教育、研究、社会貢献(エクステンション)——をゆがめるものでした。これらは大学を批判的思考の場、解放の場、学術・職業教育の場として成り立たせる根幹であり、その役割はそれ以上の広がりを持っています。
大学は市民形成や政治的関与にとっても不可欠な役割を担っています。そして、ボウソナーロ陣営は常に大学に照準を合わせてきました。私たちは当時から「Future-se」が何を意味するかを警告していました。
ボウソナーロによる「学術センターはネズミの巣だ」という発言、大学コミュニティの選挙で1位にならなかった候補を18人以上も学長に任命したこと——これらは教育における反民主主義的なアジェンダの表れであり、学生たちに直接影響するものです。私たちはすでにそれらを経験し、対峙してきましたが、再び同じことを経験したくはありません。だからこそ、私たちはルーラ大統領の勝利を目指して街頭に立っているのです。
Agência Brasil:
フラヴィオ・ボウソナーロの提案や政治的立場のうち、UNEが「民主主義と社会的権利に対する危険」と判断する要因は何ですか?
Bianca Borges:
フラヴィオは教育についてほとんど議論していません。というのも、彼らの関心の中心はそこではないからです。彼らの中心的な関心は、学校や大学が教育機関として本来の役割を十分に果たす可能性を奪うことにあります。しかし、すでに発表されている施策の中でも、社会的権利と教育への「大幅な削減」は、私たちにとって非常に懸念すべきものです。
私たちの大学は10年以上にわたり慢性的な資金不足に苦しんできました。現政権下で重要な予算の回復がありましたが、再び後退する危険があります。大学への資金後退は、大学を解体するプロジェクトの一部です。低所得の学生に奨学金を支給できず、研究室の環境も整わない状況で、大学がどうやって活動を維持できるのでしょうか。
Agência Brasil:
公立大学や学生支援にはどのような影響が出るのでしょうか?
Bianca Borges:
フラヴィオが教育、特に高等教育について語った数少ない内容の中で、最も物議を醸しているのが「連邦大学の管理移管」です。彼は大学の管理を教育省(MEC)から科学技術省(MCTI)へ移すと言っています。しかしMCTIはMECよりもはるかに小さな予算しか持っていません。彼はこの施策を「大学を生産部門に近づけるために必要だ」と説明しました。
私たちも、大学が国の開発プロジェクトの中心にあるべきだと考えています。つまり、大学は国の生産的需要に応える役割も果たすべきだと思っています。しかし、彼の提示する形では、大学が市場の利益だけに従属する存在になることが明らかです。それは私たちが受け入れられないことです。ブラジルの大学は、それ以上の存在です。
Agência Brasil:
UNEは現在のブラジルにおける「ファシズム」をどのように理解していますか? ボウソナリズムのどの特徴がその用語の使用を正当化するのでしょうか?
Bianca Borges:
それは権威主義です。権威主義とは、民衆組織や社会的弱者を代表する団体の正当性を否定し、連邦政府における社会参加の仕組みを解体することを意味します。しかし、これらの社会参加の仕組みはルーラ大統領の政権で再び復活しました。
学生運動の政治的組織を犯罪視し、政治的暴力を助長し、それがしばしば支持者による身体的暴力へとエスカレートすること——これらも権威主義の特徴です。
大学での動員が始まって以来、複数の大学がSNSを通じて放火の脅迫を受けています。これは非常に深刻です。全国学生連合(UNE)の本部は、4月1日、1964年にブラジルで軍事独裁が始まった日と同じ日に、放火されました。
ペルナンブッコ連邦大学では2件の火災が発生し、現在調査中です。犯罪かどうかは断定できませんが、大学や学生団体が脅迫を受けた後に起きたことは事実です。これらは、権威主義、反民主主義的精神、そして残念ながら彼らが権力を握り、自分たちの望むブラジルを作るために用いる「ファシズム」の明白な例です。
Agência Brasil:
UNEがルーラ大統領を支持する決定をした理由は何ですか?
Bianca Borges:
現時点でルーラ大統領を支持することは、ブラジルに再びボウソナリズムが到来するのを阻止する可能性を意味します。ボウソナリズムは政治的暴力、憎悪、反民主主義、そして権威主義的な方向性を象徴しています。私たちは、ルーラ大統領の当選がブラジルの民主主義と主権を強化し続ける可能性をもたらすと理解しています。
フラヴィオのプロジェクトは、ファシズム的であるだけでなく、完全に「従属的」なものです。
彼はすでに、自身の移行チームと政権をアメリカ合衆国に奉仕させると発言し、トランプ氏や米国の鉱山企業にブラジルのレアアースを渡したいと表明しています。レアアースは「21世紀の石油」と私たちが呼んでいるものです。私たちはそのようなプロジェクトを支持しません。私たちは、民主的で主権を持つブラジルの強化を信じています。
Agência Brasil:
学生にとって、この選挙で何が争点となっているのでしょうか? また、UNEがルーラ政権に批判があるにもかかわらず支持を必要とすると判断する理由は?
Bianca Borges:
私たちはここ数年で大きく前進しましたし、さらに前進したいと考えています。しかし、今回の選挙の第2回投票を目前にした状況では、こうした前進が可能なのはルーラ政権の下だけです。なぜなら、彼は教育を信じ、連邦大学、連邦教育機関、高等教育へのアクセス機会を歴史上前例のない規模で拡大してきたからです。
この過程には矛盾もありますが、事実として、ルーラ政権はブラジルの教育、特に高等教育を最も前進させた政権です。だからこそ、私たちは前進する道がそこにあると信じています。フラヴィオ政権の下では、私たちは抗議する正当性すら持てず、自分たちの信じるものを主張することもできないでしょう。
Agência Brasil:
大学、学生支援、学生の就学継続に関して、まだ不足している取り組みは何ですか?
Bianca Borges:
まず、十分な予算を伴う「全国学生支援計画」の確立です。現在、ブラジルの大学には低所得の学生が多く、学業継続に大きな困難を抱えています。
また、連邦大学だけでなく州立大学にも連邦政府からの財政支援を可能にする憲法改正案を下院で支持しています。ブラジルの州立大学は、一般的に連邦大学以上に深刻な資金不足に直面しています。
さらに、GDPの10%を公教育に投資する取り組みの実現、そして私立高等教育の質を確保するための監督強化も必要です。
Agência Brasil:
どの候補にも共感できず、政治が自分たちのニーズに応えられるとは思えない若者に対して、UNEは何と言いますか?
Bianca Borges:
これが私たちの最大の課題です。政治やその可能性に魅力を感じていない若者をどう魅了するか。若者の不満には正当な理由が多くありますが、権利を実現する道は、集団的な闘いに参加することです。
どの政権が労働者階級の生活改善のために「6×1勤務制の廃止」を掲げたのか、どの政権が高校生を支援する「Pé-de-Meia」を創設したのか、どの政権が若者に変革の遺産を残したのか——これを見極める必要があります。
20〜30年前のブラジルの大学がどれほど閉ざされていたかを思い出してください。大学へのアクセスが広がったのは、貧しい学生も大学に入れると信じた政権があったからです。
教育は未来へのパスポートであり、 若者に尊厳をもたらすものです。ブラジルのような国では、教育は今も「より良い生活への鍵」であり、家族により良い生活を提供する手段です。
若者は労働者階級の闘いにも強く関心を持っています。「6×1勤務制の廃止」の議題は社会を、そして若者を大きく動かしました。
Agência Brasil:
UNEは選挙期間を超えて、どのように動員を維持するつもりですか?
Bianca Borges:
動員を長期化させる道は、学生が学生運動に継続的に参加し続けることです。今、学術センターや中央学生委員会の集会に積極的に参加しているように、選挙後も組織し続ける必要があります。私たちの課題は第2回投票で終わるわけではありません。
選挙結果に関係なく、もしフラヴィオ・ボウソナーロが当選すれば、民主主義と権利を守るために強い抵抗が必要になりますし、ルーラ大統領が再選されれば、私たちの要求を実現するための闘いが続きます。
私たちの戦いは10月25日で終わりません。学生運動が今のように多数の学生に支えられ、学生の多くが自分自身を学生運動の一部として認識すること——それが勝利と継続的な動員の鍵です。
※補足
フラヴィオ・ボウソナーロ候補は、教育への投資と憲法上の最低支出の維持を公約として述べている。政権公約には、学校と企業を近づけるための技術教育改革、「市民軍事学校」の拡大、そして高等教育を科学技術省(MCTI)へ移管する提案が含まれている。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




