ブラジルの“お盆”「死者の日」の風物詩、レジストロ市の灯ろう流し行われる
2014年 11月 6日(サンパウロ州)レジストロ日伯文化協会(福澤一興会長)主催の「第60回レジストロ灯ろう流し」が(11月)1、2日にリベイラ河沿岸のベイラ・リオ広場で開催された。
水難事故、交通事故、先没者への慰霊法要が行われたほか、広場では名物マンジューバの刺身や牡蠣料理の販売、盆踊りや民謡、和太鼓のショー、奉納相撲大会に打ち上げ花火などが催され、約1万人が来場した。
2日午後7時に行われた灯ろう流しでは、同地福祉団体らが作成した2763基が川面を静かに流れ、地元の伝統として馴染んだ地元伯人らも先祖を偲んだ。
「世界平和祈願並びに先没者慰霊法要」は2日夕刻、日蓮宗恵明寺の石本妙豊住職を始め、キリスト教や生長の家など各宗教の代表者5人が合同で行なった。福嶌教輝在聖総領事やサムエル(サムエウ)・モレイラ次期連邦下議、ジルソン(ジウソン)・ファンチン市長ら約200人が厳かに焼香した。
その後の記念式典ではジルソン(ジウソン)市長、福澤会長らが挨拶を行い、福嶌総領事は、5月に亡くなった金子国栄元同文協会長へ追悼の意を表し、「来年の日伯外交開始120周年を迎えられるのも、先没者の方々のおかげです」と感謝を述べた。
午後7時から灯ろう流しとなり、地元福祉団体らが作成した灯ろうが川面を淡く照らしながら流れた。
同地在住の佐々木サヨコさん(高知、83)は「御先祖様に会える灯ろう流しは毎年の楽しみ。今年も見ることが出来て嬉しい」と喜び、同地で生まれ、赤ん坊の頃からこの行事を見て育ったというパメラ・オリベイラさん(20)は、「幻想的できれい。見ていると先祖のことを思い出します」と話し、最後の1基が流れ終わるまで恋人と川面を見つめていた。
中心舞台では、レジストロ民謡大和会やリベイラ涼風太鼓、健康表現体操協会など各団体が演目を披露。盆踊りやマツリダンスも催され、来場者を楽しませた。また同文協婦人部などが、マンジューバ、牡蠣をはじめとする名産品や日本食を提供し、雑貨に衣類、CDなど各販売ブースが立ち並んだ。
午後10時半にはフィナーレを告げる花火が盛大に打ち上がり、その華麗な演出に観衆は見入った。2日間の開催を無事に終え、充実した表情を浮かべる福澤会長は「規模は大きくなっても、大切なのは文化を知ってもらうこと。これからも続けて行きたい」と来年への意欲を語った。
この行事は、リベイラ河で亡くなった水難事故者に対して日蓮宗の故石本恵妙総長が1955年に「南無妙法蓮華経」の7字を当てた7基の灯篭を流したことから始まった。84年に同総長が亡くなってからは、妻の妙豊住職が現在まで引き継いでいる。
(写真・記事提供/ニッケイ新聞)