720万人が飢餓経験…北部、北東部の農村部中心に
2014年 12月 26日地理統計院(IBGE)が(12月)18日、ブラジルではまだ720万人が、何も食べずに1日を過ごすなどの食の危機の中にいると発表したと19日付エスタード紙が報じた。
食生活が保証されている事は安定した生活の基礎だが、2013年の全国家庭サンプル調査(PNAD)によると、直近の3カ月間に食料が買えず、何も食べずに1日中過ごした人が最低でも1人いるという家庭が210万世帯(全世帯の3.2%)あり、720万人(総人口の3.6%)が飢餓を経験した。
この数字は2009年の1130万人(人口の5.8%、世帯数の4.6%)より改善したが、2002年の大統領選でルーラ前大統領が訴えた「飢餓ゼロ」や2010年選挙のジウマ大統領の公約「極貧撲滅」はまだ遠い。
先に挙げた720万人は食生活の不安度が高いグループ(重度)だが、食事の量を減らし、中程度の不安を訴えたのは300万世帯(4.6%、1030万人)、食料が手に入るかと不安にかられるなど、軽度の不安を抱える家庭も960万世帯(14.8%、3450万人)あった。
総計すると22.6%の世帯は食生活に不安を抱えている事になり、最も不安にさらされているのは北部や北東部の農村部に住む17歳以下の子供や青年だという。
地域別に見ると、食生活に不安を抱える家庭は北東部(38.1%)や北部(36.1%)に多く、中西部や南部、南東部は18.2%、14.9%、14.5%。
重度の不安を抱える家庭の割合は、北部6.7%、北東部6.6%、中西部2.3%、南部と南東部1.9%だった。食生活に不安を抱える家庭が最も多い州はマラニョン州の60.9%で、ピアウイ州が55.6%で続く。
他の経費を削らなくても食生活は確保されている家庭は77.4%で、2004年の65.1%や09年の69.8%より増加。食生活が確保されている家庭が多いのはエスピリトサント州の89.6%やサンタカタリーナ州の88.9%、サンパウロ州の88.4%などだ。
食料を買えない場合の対処方法は、ツケで買う43.3%が最多。連邦政府の生活扶助(ボウサ・ファミリア)のカードを見せて信用してもらう人が多い事が覗われるが、余分な食料は買わない、金を借りる、肉などを減らす、寄付を仰ぐなどの方法もあった。
一方、食生活に不安を抱える家庭の10%はコンピューターでインターネットを利用、ネットはないがコンピューターはある家庭も13.8%ある。食生活に不安がある家庭の93.5%はフォゴンを所有。85.8%は冷蔵庫、88.4%はテレビ、21.8%は洗濯機を持っており、生活の質は向上している。
(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Edson Lopes Jr./A2 Fotografia)
福祉政策も州によって異なる。写真はサンパウロ州がサポートする低価格食堂「ボン・プラット」、サントアマーロ店。現在、州に47カ所あり、1ヘアウ(レアル)で昼食定食が提供され、低所得者層や高齢者、社会的に脆弱な立場にいる人たちの生活を支えている