燃料や化粧品、輸入品で増税へ。政府の増収策の第一歩。失業保険など社会保障費も基準を改定へ
2015年 01月 15日基礎的財政収支の黒字目標達成と国内外の信用回復を優先課題とする第2期ジウマ政権では、ガソリンなどへの課税による増収案がまとまり、大統領も承認済みと14、15日日付伯字各紙が報じた。
経費削減策も部分的に動き始め、電気代なども適正価格に調整される見込みだ。
2015年の基礎的財政収支の黒字目標は国内総生産(GDP)の1.2%で、昨年11月の経済スタッフ指名以来、中心となって目標達成のための方策を練り続けているのはジョアキン・レヴィ財務相だ。
同財相は13日に開催された記者団との朝食会の席上、公的収支のバランスを取り戻すための増税策が近日中に発表される事を示唆した。財相は詳細を明らかにしていないが、13日にジウマ大統領に提示され、既に承認されたといわれているのは、12年に0%になったガソリン向け経済支配介入納付金(Cide)の復活と、社会統合基金(PIS)/社会保険融資納付金(Cofins)の化粧品への課税と輸入品へ課税率引き上げだ。
これらの増税案は公布から90日後に発効となるため、徴収開始は4月となるが、4月以降の増収額は90億レアルに上る予定だ。
また、増収に先行または並行して進められる経費削減策は、社会保障関係費の削減や社会経済開発銀行(BNDES)の長期貸付の金利引き上げなどだ。
社会保障関係費の削減の一つは、年金受給者が死亡した後の遺族への年金支給基準変更だ。14日発効の暫定令では、年金受給資格のある遺族は死亡した受給者と2年以上の婚姻関係かそれに準ずる関係にあった配偶者と子供で、年金積み立てが2年以上されていた事が条件付けられる。
配偶者の受給額は年金の50%で子供の養育手当ては10%(総計は最大年金額まで)、養育手当ては子供が21歳になったら打ち切られる他、44歳以下の配偶者は3~15年で受給資格を失う。
失業保険なども含む社会保障費の基準改定で年180億レアルを節約できる見込みだ。
BNDESの長期融資の返済利子は現行の5.5%が前倒し調整される見込みで、経済基本金利との差による国庫負担額(年300億レアル)の軽減が期待されている。
また、第1期政権で平均16%値下げされた電気代は「現実に沿った料金」に調整される。
ジウマ大統領は既に電力業界への補助金(年90億レアル)の削減を承認。14日付エスタード紙は、政府の補助削減とイタイプ発電所の電力価格の46%上昇、銀行からの借入金返済、14年の政府の未払い金分補填などにより、今年は電気代が平均で30%値上がりし、公式のインフレ指数(IPCA)は年7%上昇の可能性ありとの記事を掲載している。
電気代の値上げはインフレ圧力となる一方、電力会社の増収とPIS/Cofinsの増収効果をもたらす事が期待されている。
(記事提供/ニッケイ新聞、写真/USP Imagens)