ブラジルサッカーの素晴らしい魅力がたっぷり詰まった映画「サントス~美しきブラジリアンサッカー~」
2013年 10月 6日この映画を、どれだけ待ち焦がれていただろうか。
「サントス~美しきブラジリアンサッカー~」は、ブラジルの名門サッカーチーム、サントスFCの創立100周年を記念して作られたドキュメンタリー映画である。
サントスFCといえば、ペレやカズ(三浦知良)、そして最近ではネイマールが在籍していたことで知られるブラジルの名門クラブだ。リベルタドーレス杯3回、ブラジル全国選手権8回、サンパウロ州選手権20回の優勝を誇る名門中の名門チームである。2011年にはクラブW杯出場のため、若き至宝ネイマールやガンソなどが来日して話題にもなった。
創設は1912年4月14日。この日は奇しくも豪華客船タイタニック号が座礁した日だ。そのことは、この映画でも紹介されている。
この映画では、そんなサントスFCについて、過去から現在まで、重要なポイントとなる試合を通し、当時活躍していた選手やサントスFCにまつわる人のインタビューを交えて紹介している。ペレ以前、ペレの時代、その後の暗黒時代、ホビーニョ(ロビーニョ)、ジエゴなどによる第2期黄金時代の幕開け、そしてブラジルの至宝ネイマールの登場による第2期黄金時代といった感じで進んでいく。
サントスFCのホームタウンはその名の通り、サントス市。サンパウロから約70kmの海岸沿いの街だ。サントス市にありながら、他のサンパウロ市の名門クラブであるサンパウロFC、コリンチャンス、パウメイラスとともにサンパウロ4大チームの一つに数え上げられる。
私は、ブラジル在住時代の2005~2012年の間、暇さえあればサントスのホームスタジアム、ヴィラ・ベウミーロに行っていた。サントスFCはブラジル屈指の名門チームでありながら、そのホームスタジアムの雰囲気はとても家庭的だ。ヴィラ・ベウミーロは住宅街の中にある収容2万人の小さなスタジアムだ。そんなスタジアムで、選手と観客は一体となって戦うのである。そんな思い入れのあるサントスFCのドキュメンタリー映画なので、見ていて、久々にサントス魂が湧き上がり、実際に体感した試合も数多く出ており、見ていて自然と笑みがこぼれてきた。
もちろんサントスのファンでなくても、あるいはブラジルのサッカーについてそれほど詳しくない方でも、誰もが楽しめる映画だ。なぜならこの映画は、ブラジルを代表するクラブチームのドキュメンタリーだからである。
サッカーの王様ペレのプレーから、ペダラーダ(またぎフェイント)で観客を魅了したホビーニョ(ロビーニョ)、そして、今や世界的プレーヤーとして誰もが認める、ペレの再来ともブラジルの至宝ともいわれるネイマールといった、ブラジルを代表する選手たちの、まさにこれこそが“フッチボウ・アルチ”というべきプレーが次から次へと映し出される。
この映画を見れば、ブラジルサッカーの素晴らしい魅力が感じられるはずだ。そしてブラジルならではのスタジアムの雰囲気、トロセドール(サポーター)たちの熱い応援、そういったことが、すべてわかるのだ。
これは、サッカー好きにはたまらない映画だろう。サッカー好きだけでなく、ブラジルを愛する人、すべてに見てもらいたい映画だ。
サッカーは、ブラジル人にとって最大の娯楽、またブラジル最高の文化といえる。そんなブラジルの神髄を一人でも多くの人に味わってほしいものである。
(文/コウトク、写真提供/トゥピニキーン・エンターテイメント)