3つの言語を勉強して分かった外国語習得のコツ

2016年 02月 3日

ブラジル ポルトガル語

ぼくは英語、インドネシア語、ポルトガル語の3つの言語を話します。

英語は学生時代から勉強しているので別としても、インドネシア語とポルトガル語は、学習を開始して2~3ヶ月くらいで、大体の意思疎通ができるようになりました。現地の人と会話した時に、「いつから言葉を勉強しているの?」と聞かれて、「3ヶ月前からです」というと、よく驚かれていたものです。

自分にしてみれば、なぜそんなことで驚くのかという気持ちでした。

というのも、文法はメチャクチャだし、発音もイケていなかったからです。ブラジル在住歴3年半ほどになる現在でも、文法は未だにおぼつかないことが良くあります。

それでも、3ヵ月ほど勉強しただけで意思の疎通ができるようになり、現地の人から驚かれるようになったのは、外国語習得のコツを押さえているからだと自負しています。

1.語学習得の目的を割り切る

外国語を勉強する人であれば、一度は「外国人のように話せるようになりたい」という「夢」を見ると思います。この夢を実現するためには、外国語の勉強に相当な時間を費やさなければなりません。

しかし実際に外国語を使った仕事を経験してみて、必ずしも「外国人のように話せる必要はない」ということが分かりました。

例えば、仕事で英語を使うのは、何も英語圏の人だけとは限りません。非英語圏の人々は、お国訛りのある文法的にも間違いのある英語を話してきます。こちらも日本語訛りのある英語で話しますが、別段問題はありません。

また、英語圏の人と話す場合でも、相手はこちらが外国人だと認識しているので、流暢な英語が話せないからといって、仕事に支障を来すことはありません。

むしろ、言語よりも、話す内容の方がよっぽど重要です。

相手は、こちらが話す「話の内容」を聞いているのであって、語学力を評価しているわけではありません。学校の試験ではなくて、あくまでも仕事ですから。いくら、語学が流暢であっても、話していることが荒唐無稽なら仕事上で評価してもらうことができません。

外国人のように話せるようになるには、とほうもない時間と根気が必要です。そういうことは、それに適した人がやるべきで、なにも自分がやる必要はありません。語学はあくまでも技術なので、その方面の権威に任せておけばよいのです。

2.目的を割り切ると自信が湧いてくる

「外国人のように話せる」必要はないと割り切れば、外国語に対する恐怖心がなくなります。

文法もメチャクチャで、下手くそでも、何とか外国人と意思疎通ができるようになれば、「私はポルトガル語が話せます」と自信を持って断言できます。外国語の習得には、この自信があることが重要です。

外国語が話せるかどうかは、誰に評価してもらうわけでもなく、自分が決めるのです。言葉などは使ってナンボの世界なので、下手くそでも何度も使っていれば自然に覚えるようになります。「根拠のない自信」は、経験を経て「実力」に変化していきます。

3.文法よりもまずは語彙を増やす

ポルトガル語が話せると自信をもって言い切った後でなんですが、ぼくはいまだにポルトガル語の接続法が苦手です。

接続法は、ブラジル人でさえ間違える人が居るほどややこしい文法です。文法は海外に数年暮らしても完璧にするのが難しい分野です。

てっとり早く外国語で意思疎通できるようになるためには、文法力をあげるよりも語彙を増やすことが重要です。文法ができていなくても、単語を並べておけば、とりあえず何が言いたいのか通じるからです。

いつまでたっても外国語が話せるようにならない場合には、2.で記述した「自信」がないか、圧倒的に「語彙力」が不足しているのが原因かもしれません。

日常会話で必要な語彙なんてたかが知れているので、ここは気合を入れて覚えるしかありません。ぼくは、コクヨのノートにひたすら単語を書き写して、単語を熔かすように覚えました。

(文/唐木真吾、写真/麻生雅人)
写真は2012年、リオデジャネイロで展示されたジョナタス・ヂ・アンダラージの作品「エドゥカサォン・パラ・アドゥートス(大人のための教育)」(2010年)のひとつ、「値段」。ブラジルならではの「語彙」が学べる作品!?

著者紹介

唐木真吾 Shingo Karaki

唐木真吾 Shingo Karaki
1982年長野県生まれ。東京在住。2005年に早稲田大学商学部を卒業後、監査法人に就職。2012年に食品会社に転職し、ブラジルに5年8カ月間駐在。2018年2月に日本へ帰国。ブログ「ブラジル余話(http://tabatashingo.com/top/)」では、日本人の少ないブラジル北東部のさらに内陸部(ペルナンブーコ州ペトロリーナ)から見たブラジルを紹介している。
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