かき氷「エコ」フードトラック、常夏のアマゾンに現わる

2016年 09月 4日

アクリ州リオブランコ

数年前からブームに乗ってブラジル全土で急増したフードトラックは、2015年から2016年にかけて、淘汰の段階に入っているようだ。

各事業者は商品クオリティや費用効率の向上など、生き残りをかけてしのぎを削っている。

そんな中、「エコ」フードトラックが常夏のアマゾンに現われた。

グローボ系列テレビ局「ヘジ・アマゾニカ」が8月27日づけで伝えたところによると、北部アクリ州で太陽光発電パネルを装備したフードトラックが出現したという。

トラックの持ち主、ヒカルド・ベッカーさん(49)は5万5000レアル(約18万円)を投資し、バイク牽引型の「エコフードトラック」を作った。牽引されるトレーラーの屋根に太陽光発電パネルを取り付けている。

ヒカルドさんがエコフードトラックで販売しているのは、トロピカルフルーツ味のかき氷とフルーツの生ジュース。彼が商品の移動販売を行う北部アクリ州ヒオ・ブランコ市は常夏の地で、商品の需要は年中高い。

彼の事業の中核コンセプトは「持続可能性」で、太陽光発電パネルを使用している以外に、商品を提供する際のコップにも生分解性素材を使用している。

電力に関しては、冷蔵庫やかき氷用の機械など事業に必要な動力のすべてを太陽光発電パネルからの電力で賄っている。

この事業を始めてからまだ1月に満たないため、売上・利益に関するデータはないが、ヒカルドさんはこの事業にかける思いをこう語っている。

「かき氷はこの常夏の街では珍しいものではありません。私たちが目指すのは、もちろんお客様にご満足いただくことですが、それ以外に、自然とともにあることで、それゆえの自家発電、生分解性素材なのです。コップに使われている生分解性素材は4-8週間のうちに分解し、土に帰ります」(ヒカルドさん)

かき氷のソースはパイナップル、マンゴー、ブドウ、ココナッツ、パッションフルーツ、クプアス、ミント等で、すべて天然の素材から作っている。ミントについては外から手に入れるのが難しいことが判明し、自宅の中庭で栽培することにしたという。

かき氷の価格は3-8レアル(約100-250円)で、大・中・小とサイズを選べる。サイズによってはかけられるソースの種類も4種類まで選べる。かき氷の値段が高くならないよう、ヒカルドさんは果物、コップの納入業者と日々値段の交渉をしているという。

「(かき氷という)商品自体は目新しいものではありませんが、私たちは商品を新しいフェーズに持ってきたと思っています。ソースの種類は自分たちが素材をスーパーで手に入れられるものにしています。イチゴは旬ではないため仕入れ値が高く、商品化していません。仕入れ値を販売価格に転嫁したくないからです」(ヒカルドさん)

学生のルーカス・ドウラードさん(18)はソースがいろいろ選べるというカスタマイズ部分に興味を引かれ、ヒカルドさんのかき氷を初めて注文したという。最初に食べたのはパッションフルーツとミント味で、とても気に入ったため、今では常連となっている。

「僕のお気に入りはパッションフルーツ味で、もちろん友達にも紹介しました。他のかき氷とは違いますからね。このかき氷はアクリの暑さを和らげてくれます」(ルーカスさん)

かき氷業界への参入を皮切りに、ヒカルドさんは他の食品を扱うフードトラックへの投資も検討しているという。彼が目指すのはフランチャイズ化だ。

「このプロジェクトは100%アクリ産です。持続可能で今のところうまくいっています。フードトラックのいいところは、様々な場所から最も良い場所を選んで移動できるという点です。自分たちのアイデアはどんどん膨らんでいきます」(ヒカルドさん)

(文/原田 侑、写真/Embratur)
写真はアクリ州リオブランコ市の市街地