黒人権利意識向上デーに“ソウル・ブラジレイロ”のレジェンドが集結。サンパウロで「メストリス・ダ・ソウル」開催
2013年 11月 16日11月19日(火)と20日(水)、サンパウロ市の Praça das Artes(プラッサ・ダス・アルチス)にソウル・ブラジレイロ(ブラジリアン・ソウル)のレジェントたちが集う。
このイベントは11月20日のDia Nacional da Conciência Negra(黒人意識向上デー)を祝して開催されるもので、ボイア・フリア・プロドゥソンイス(プロダクション)とムニシパウ劇場ファウンデーションが運営するもの。ソウル・ブラジレイロのジャンルの歴史を祝して2夜に渡って無料コンサートを開催する。
11月20日は、逃亡奴隷たちが作った王国Palmares パウマーリスの王で、奴隷解放運動の闘士だったZumbi ズンビの命日。Dia Nacional da Conciência Negra(黒人意識向上デー)としてブラジルの多くの州や市で祝日に定められている。
60年代末にTim Maia チン・マイア、Wilson Simonal ウィウソン・シモナウ、Eduardo Araujo エドゥアルド・アラウージョらの活躍で始まったソウル・ブラジレイロの魂は、その後もブラジルには常に存在していた。それは、Jair Rodrigues ジャイール・ホドリゲスや Elza Soares エウザ・ソアーリスなどのサンバから、Elis Reginaエリス・ヘジーナ、Marcos Valle マルコス・ヴァーリ、Ivan Lins イヴァン・リンス、Roberto Carlos ホベルト・カルロスなどMPB、さらにはBanda Metalurgia バンダ・メタルジア、 Mantiqueira マンチケイラなどインストゥルメンタル界、Chico Science シコ・サイエンス やDominguinhos ドミンギーニョスなど地方色の濃い音楽、近年でもJota Quest ジョタ・クエスチ、Seu Jorgeセウ・ジョルジ、Fernanda Abreu フェルナンダ・アブレウ、Marisa Monte マリーザ・モンチなどに影響を与えている。
70年代にはTony Tornado トニー・トルナード、Gerson King Combo ジェルソン・キンギ・コンボ、Carlos Dafé カルロス・ダフェ、Banda Black Rio バンダ・ブラッキ・ヒオ、Cassiano カシアーノらが活躍して、ソウル・ブラジレイロの魂はクッキリと打ち出された。
ソウル・ブラジレイロは現在のブラジル音楽に今もなお幅広く影響を与え続けているだけでなく、Hyldon イウドンが今月ニュー・アルバム「Romances Urbanos(ホマンシス・ウルバノス)」を発表したり、Gerson King Combo ジェルソン・キンギ・コンボが若手ミュージシャンからコラボ活動の依頼を受けるなど、近年、再評価の気運は高まっている。
イベントを主催するボイア・フリア・プロドゥソンイスは本サイトの取材に対し「ソウル・ブラジレイロは、現在のブラジル音楽シーンの中で、今まさに復権を果たしつつあります。過熱しているアナログレコード人気や再発ブーム、クラブなどでのDJたちによる再評価なども後押ししています。私たちは彼らに敬意を表して行うこのイベントを通じて、彼らのさらなる活躍を応援できれば幸せです」と語った。
今回、開催されるプロジェクト “Mestres da Soul” メストリス・ダ・ソウル(ソウル・マスターたち)では、アンダーグラウンドの世界で確立されているブラジルが生んだひとつのアートの再評価を試みるという。ショウの演奏は両日とも、バンダ・ブラッキ・ヒオが中心となる。
「Mestres da Soul」メストリス・ダ・ソウル
日時:
11月19日(火)、20日(水)、共に18:00~
出演:
19日(火)
Carlos Dafé カルロス・ダフェ、Hyldonイウドン、Paulo Diniz パウロ・ジニス、Tony Tornado トニー・トルナード
20日(水)
Gerson King Combo ジェルソン・キンギ・コンボ、Di Melo ヂ・メロ、Lady Zu レディー・ズー、 Luis Vagner ルイス・ヴァギネル
会場:
Praça das Artes プラッサ・ダス・アルチス
Avenida São João, 281, Centro – São Paulo/SP
最寄り駅:地下鉄 República ヘプブリカ駅
電話: (11) 3294-9757
(文/麻生雅人、写真提供/Boia Fria Produções)