訪日中にマルセラ・テメル大統領夫人はブラジル人学校を訪問
2016年 10月 21日10月18日(火)~19日(水)、ブラジルのミシェウ・テメル大統領に同行して訪日していたマルセラ・テメル・ブラジル大統領夫人は、19日(水)、ベアトリッシ・コヘーア・ド・ラーゴ駐日ブラジル大使夫人とともに埼玉県児玉郡上里町にあるブラジル人学校を視察、日本で暮らすブラジル人の児童たちと交流した。
上里町は本庄市と並び、同県内でブラジル人居住者が多いことで知られる地域のひとつ。埼玉県の発表(2016年1月15日)によると、同県内の在留外国人数は13万4,374人(2015年6月末)で、2012年以降、増加傾向にある。
国籍別では中国(53,847人)、フィリピン(17,459人)、韓国・朝鮮(17,084人)、ベトナム(9,703人)につぎブラジル(7,175人)の国籍を持つ在留者は5番目に多い。県内における市町村別外国籍住民数では、上里町は997人、隣の本庄市は1,982人となっている。
マルセラ・テメル・ブラジル大統領夫人が訪問したのは、学校法人ティー・エス学園。同学園の創始者である斉藤俊男さんは、日系ブラジル人のための人材派遣会社を運営する傍ら、ブラジル人の家族のために1990年代末ごろに託児施設を開設。それが現在の学園に発展した。現在は学童保育から中学生までを含む約150人の児童が通う。
同学園の児童たちは、教育の一環としてマンジョッカ芋(キャッサバ芋)、ベテハーバ(ビーツ)、ジロー(にがうり)など、ブラジルの食卓ではなじみ深い野菜を育てたり収穫したりする農業を体験している。マルセラ・テメル・ブラジル大統領夫人は、ブラジル人の子弟たちが本国から遠く離れた日本で、母国の食文化に触れながら教育を受けている様子に驚いていたという。
斎藤さんの会社では、リーマンショック後に工場などの雇用環境が悪化した2008年以降、派遣先の契約を打ち切られて職を失った日系ブラジル人たちのために、遊休農地を借り受けて農業事業をスタート。ティー・エス・ファームを立ち上げた。ティー・エス・ファームでは深谷ねぎをはじめ日本市場向けの商品だけでなくブラジルの野菜の栽培を行っており、同ファームの農業のノウハウが学園の教育にも役立てられているという。
(文/麻生雅人、写真提供/ティー・エス学園)
写真は10月19日(水)、埼玉県児玉郡上里町のティー・エス学園を訪問、児童たちと交流したマルセラ・テメル・ブラジル大統領夫人