ネイマールが試合前にSNSで投稿するフレーズの意味とは?
2022年 12月 15日
“Que Deus nos abençoe e nos proteja”
サッカーファンの皆様はこの言葉を目にした事はあるだろうか?
ワールドカップで常に優勝候補に挙げられるブラジル代表。そのエース、ネイマール選手が大事な試合の前になるとSNSに投稿している言葉である。
世界最多6度目の優勝を目指す今大会の初戦、11月25日セルビア戦や、怪我から復帰した12月6日の決勝トーナメント初戦・韓国戦、敗れはしたが12月10日クロアチア戦の前にも、同じくこの祈りの言葉は投稿された。
意味は「神の祝福とご加護があります様に」。
この試合前の祈りの言葉は、これほどシンプルな内容にも関わらずInstagram上で900万人以上からいいね!をされているのは、国民の90%がキリスト教(その多くはカトリック派)であるブラジルらしい。
そもそもブラジル人はキリスト教や神様に由来するフレーズを日常的に使っているが、サッカー選手がよく口にする言葉や、サポーターが選手に贈るフレーズにもそれは少なくない。
例えば、“Fica com Deus”という「あなたに幸運があります様に」を意味する言葉は、試合を控える選手によく使われている。
“Graças a Deus”は「神様のお陰」と訳せる。「神様のお陰で勝てた」、「神様のお陰でこんなに素晴らしいチームメイトに会えた」…。そんな幸運が起きた時にブラジル人選手はこのフレーズを使う。サポーターなら「神様のお陰で愛するこのクラブのサポーターになれた」と忠誠心を誓う時にも使われる。
“Nunca foi sorte , sempre foi Deus”「ラッキーだった事はない、いつだって神様のお導きだった」も、一見ラッキーに見える様なゴールの際に、必然性と信仰心を示す言葉として使われる。
これらはほんの一例だが、ブラジルのサッカー選手やサポーターの間でお約束となっている言葉やフレーズは、まだまだある。
そんな事例を1冊にまとめた本を出版した。
「ゲーフラ作りと会話に役立つ!Jサポのためのブラジル・ポルトガル語」(https://amzn.to/3XSH9Jt)。
<選手との会話編>では、“「ゴール出来ることを願ってます」Espero que você marque um gol エスペーロ キ ヴォセー マルキ ウン ゴウ”、“「J1に昇格しましょう!」Vamos subir o time para primeira divisão バモス スビール オ チーミ パラ プリメイラ ディビザォン”など、約70のワードやフレーズを収録。
<ゲーフラ編>では、“「あなたは横浜の誇りです」Você é orgulho do Yokohama ヴォセー エ オルグーリョ ド ヨコハマ”、“「1人は皆のために、皆は1人のために」Um por todos e todos por um ウン ポール トドス イ トドス ポール ウン”など約90ワードやフレーズを収録。
そう、これはまさにJリーグサポーターのためだけに特化して作られた本なのだ!
もしあなたが、Jリーグで活躍するブラジル人選手やスタジアムで出会ったブラジル人のサポーターと「直接話をしてみたい」、「選手が喜ぶゲームフラッグを作りたい」と思ったのなら、きっと役に立ってくれると思う。
地球の反対側にある日本まで来て活躍しているブラジル人選手が、あなたが応援するJリーグクラブを“ホーム”、つまり”自分の居場所”と思ってもらうためには、サポーターが作り出すスタジアムの雰囲気は大きな意味を持つ。
「ああ、このサポーターは俺たちのことを本当に応援してくれているんだな」、「このクラブで来年もプレーしたい」、「このサポーターのためにゴールを決めたい」と彼らが思ってくれるようなコミュニ―ケーションを、日本のサポーターとブラジル人選手の間で育むことができたらどんなに素敵だろう…。そう思って、この本を作った。面白そうだと思ったら、ぜひ手に取ってみていただけたら幸いだ。
(文/平安山良太)
著者紹介:平安山良太(へんざん・りょうた)。サッカー指導者、強化部、通訳として海外クラブやJリーグを歴任(ブラジルではコリンチャンス、ECバイーア、国内では名古屋グランパス、FC琉球など)。現在はファジアーノ岡山の強化部兼通訳。