リオ市旧市街区の歴史的建造物グスターヴォ・カパネマ宮が修復を終え、公開される

2025年 05月 26日

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カンジド・ポルチナリの作品が飾られているグスターヴォ・カパネマ宮(写真/Tomaz Silva/Agência Brasil)

1930~40年代に建造された、ブラジルのモダニズム建築の象徴のひとつであるグスターヴォ・カパネマ宮が、先週5月20日(火)、修復を終え、約10年ぶりに再公開された。リオデジャネイロ市政府が発表した。

修復を終え、一部が公開されたカパネマ宮ではリニューアルの記念式典が行われ、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領、ジャンジャ・ダ・シウヴァ大統領夫人、マルガレッチ・メネーゼス文化大臣、アニエーリ・フランコ人種平等大臣、リオ市のエドゥアルド・パエス市長、エドゥアルド・カヴァリエリ副市長、ルカス・パジーリャ文化長官らが出席した。

エドゥアルド・パエス市長は、リオ市の歴史や文化におけるカパネマ宮の重要性を称賛し、ブラジリアへの遷都が行われる前、リオデジャネイロがブラジルの首都だった時代に建てられたこの建物の象徴性を強調した。

そしてパエス市長はルーラ大統領に、リオでジャネイロ市に名誉首都の称号を授けてほしいと要請したという。

現地メディア「アジェンシア・ブラジル」によると、グスターヴォ・カパネマ宮は1937年から1945年にかけて当時の教育省と保健省の本部として建てられた16階建ての建物で、モダニズム建築と、ブラジルの文化遺産のランドマークとして知られているという。

建築プロジェクトや装飾には錚々たる顔ぶれが名を連ねた。プロジェクトを主導したのはルシオ・コスタ。建築のコンサルティングはル・コルビュジエ。参加した建築家はオスカー・ニーマイヤー、アフォンソ・エドゥアルド・ヘイディ、カルロス・リアォン、ジョルジ・モレイラ、エルナーニ・ヴァスコンセロス。

「(すぐ近くにある)サンタ・ルジア教会の塔に使われている青色が、この建物でも、どの階にも使われています。私たちは現在、この青を“ルシオ・コスタ・ブルー”と呼んでいます。彼がバロック様式の教会の塔からこの建物の内部に取り入れようとしたのが、まさにこの青なのです」と語るのは、修復を指揮した国立歴史美術遺産院(IPHAN)の有形文化財部門のディレクターを務める建築家アンドレイ・ホーゼンタウ・シューリ。

1980年代以前に行われた修復工事の際には、カパネマ宮の現場を見たルシオ コスタが、この修復で使用された青が、彼が建築当初に思い描いた色合いと異なっていることに気づき、新しい塗料を注文し、さまざまな顔料を混ぜ、自身が思い描く“青”が再び作れるまで塗料と向き合い続けたという。

建物の入り口にある、白いタイルに青い海の生き物を描いたパネルを制作したのはカンジド・ポルチナリ。

1階と大臣執務室の階にある庭園は、造園家ホベルト・ブルレ・マルクスによって設計されている。

「これはただの建物ではありません。紛れもない“ブラジルの建築物”であり、ブラジルの国民性を実現するために、ルシオ・コスタ、オスカー・ニーマイヤー、そしてここで仕事をした多くの建築家たちが、ブラジルの伝統を反映するさまざまな要素を参照しています」(アンドレイ・ホーゼンタウ・シューリ)

国立図書館財団(FBN)のマルコ・ルチャッシ会長は「この建物は、ブラジルで制作された知的財産の分野において非常に重要な役割を果たしており、ブラジル国内で、どのようなコンセプトが作られ、どのようなものが制作されているかを理解するための鏡となっています」と述べた。

閉鎖されていたカパネマ宮の修復工事が始まったのは2019年2月のこと。保存・近代化を目的とした修復工事は、建物の構造を修復し、歴史的価値を保存することに重点が置かれた。

連邦政府は成長加速プログラム(新PAC)を通じて8,430万レアルを投資して、ピーク時には約100人の労働者が雇用された。

しかし政権交代や新型コロナウィルスのパンデミックなどがあり、修復作業は一時的に停止していた時期もあったという。

(文/麻生雅人)