サンパウロ州でメタノール中毒で2名の死亡、確認される

2025年 09月 30日

metanol
報告を受け、連邦政府もメタノール中毒による警告を発信。画像はメタノール(写真/Biodiesel Brasil)

ブラジルのサンパウロ州保健局衛生監督センター(CVS)は、6月以降、州内でメタノール中毒による死亡が2件確認されたと、9月27日(土)に発表した。

死亡例は、サンベルナルド・ド・カンポ市と州都サンパウロ市でそれぞれ1件ずつ発生している。

この期間中、州内ではメタノールによる中毒が6件確認されている。

CVSによると現在サンパウロ市では、汚染された飲料の摂取による中毒が疑われる事例が10件あり、調査中とのこと。

「バー、企業、その他の施設は、提供する製品の出所に細心の注意を払うようにし、消費者は、ラベル、安全認証、税務印のある合法的な製造業者の飲料のみを購入するようにしてください。疑わしい出所の製品を避けることで、命に関わる可能性のある中毒を予防できます」とCVSは声明で述べている。

メタノールとは、可燃性があり、無色の液体。溶剤として広く使用されており、燃料、プラスチック、塗料、医薬品の製造にも用いられる。中毒性が非常に高く、摂取すると少量でも死に至る可能性がある。この物質は、人間が直接摂取する用途には使用してはいない。

ブラジル法務・公安省に属する国家薬物政策・違法資産管理局 (Senad)は、9月26日(金)、サンパウロ州で過去25日間に発生したメタノール中毒の事例を受けて、警告を発表した。

これらの中毒は、混入されたアルコール飲料の摂取によって引き起こされている。この事例は、短期間に集中して発生したこと、そしてアルコール飲料の摂取と関連していることから、異例なケースであると見なされた。

州内の毒物学の基幹施設であるカンピーナス(SP)の毒物情報・救急対応センター(Ciatox)から、連邦政府の警告システムに対して9件の通知が送られた。同施設は、サンパウロ州の複数の自治体に対応している。

「Ciatoxでは過去2年間、燃料(用アルコール)の摂取によるメタノール中毒の事例を複数、受け付けてきました。それらは、物質乱用といえる形で意図的に摂取されたものであり、しばしば路上生活者と関連していました。しかし、今回の通知によれば、摂取はバーなどの社交的な場面で行われており、ジン、ウイスキー、ウォッカなど複数の種類の飲料が含まれていました。これは、同センターにとって前例のない記録です」とSenadは発表した。

同事務局は「疫学的な集団発生(エピデミック)」への注意を促している。

「このような不正混入の状況は、公衆衛生の観点から特に留意しなければなりません。この種の事例は、しばしば複数の重篤な症例と高い致死率を伴う集団発生を引き起こし、脆弱な人口集団に影響を及ぼすとともに、保健当局による迅速な対応を必要とします」と声明は付け加えている。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)