【ブラジル】メタノール混入飲料による死亡事故を受け、国家消費者局が警告を発信

2025年 09月 30日

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サンパウロ州ではメタノール中毒による2名の死者がでている。画像はイメージ(写真/Lukáš Lehotský)

サンパウロ州で死亡事故が発生したことを受け、国家消費者局(Senacon)は、(中毒物質が)混入されたアルコール飲料に関する警告を発表した。

同州では、メタノールによる中毒事例が少なくとも9件報告されており、すでに2人が死亡している。

Senaconと、国家知的財産権侵害犯罪・海賊品対策評議会(CNCP)は、サンパウロ州および周辺地域でアルコール飲料を販売する事業者に向けた緊急勧告を含む技術文書を発表した。

この措置は、この25日間の間に発生したメタノール混入による中毒事例を受けて発表されたものである。

通知によると、目的は「民間セクターへの指導と、偽造業者および違法流通業者による犯罪行為の抑止」とのこと。

勧告は、バー、レストラン、ナイトクラブ、ホテル、スーパーマーケット、卸売店、流通業者、電子商取引プラットフォーム、宅配アプリなどを対象としている。また、消費者に対しても、混入の疑いがある場合の警戒ポイントについて注意喚起を行っている。

事業者に対して推奨されている措置は以下。

  • 有効なCNPJ(法人登録番号)を持ち、該当分野での正規の業務実績がある供給業者からのみ、アルコール飲料を購入すること。
  • 購入時には必ず領収書(Nota Fiscal)を取得し、連邦歳入庁(Receita Federal)の公式チャネルでセキュリティキーの確認を行うこと。
  • 封印やコルクが破損している瓶、ラベルがずれている・粗悪であるもの、製造業者や輸入業者の表示がないもの、ロット番号が記載されていない・重複している・判読不能なものは受け取らないこと。
  • トレーサビリティ(追跡可能性)を確保するために、二重チェックなどの措置を講じること。

文書ではさらに、以下のような兆候が混入の疑いを示す警告サインであると指摘している。

  • 市場価格を大きく下回る販売価格
  • 飲料本来の香りと一致しない異臭
  • 視界のぼやけ、激しい頭痛、吐き気、めまい、意識レベルの低下などの症状の報告

「このような状況では、『家庭でのテスト』(匂いを嗅ぐ、味見する、火をつけるなど)を行わないでください。これらの方法は安全でも確実でもありません」と技術文書は強調している。

当局は、製品の改ざんが疑われる場合には直ちに販売の中止をしなければならないとしており、また、何らかの症状を呈した消費者には、速やかに医療機関を受診するよう指導する必要があることも強調している。

「店舗は、臨床および毒性に関する指導を受けるために、Anvisa(国家衛生監督庁)の中毒相談窓口 0800 722 6001 に連絡する必要があります。状況に応じて、地方または州の衛生監督機関、文民警察(197)、ブラジル消費者保護機関(PROCON)へ、そして該当する場合には農業・畜産省にも、流通経路の追跡のために直ちに通報することが推奨されます」

ブラジル法務・公安省(MJSP)は声明の中で、改ざんされた製品の販売は刑法第272条に規定された犯罪であると強調した。また、消費者関係を扱う法律(法第8.137号/1990年)も、消費に適さない製品を提供する者に対して罰則を定めていると指摘している。

連邦機関はさらに、消費者保護法典が、製品の安全性に関する責任を供給者に課していることを明言している。

「ブラジル法務・公安省(MJSP)は、民間セクターとの継続的な対話を維持し、制度的な協力を強化し、ブラジルの消費者に安全を保証するための措置を講じるという責任を改めて表明します」と声明は締めくくっている。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)