ジョイス・モレーノ、2026年の来日公演は「女性性」をテーマにした2つのステージ

2026年 05月 17日

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自身の作品の核心に迫る企画ライヴに臨むジョイス・モレーノ(画像提供/ブルーノート東京)

ブルーノート東京とコットンクラブで毎年恒例となっている、リオデジャネイロのシンガー・ソングライター、ジョイス・モレーノの来日公演が今年も発表された。

公演はブルーノート東京で6月30日(火)、7月1日(水)、コットンクラブで7月2日(木)に行われるが、両会場ではそれぞれが異なる題材の企画ライブが予定されている。

ブルーノート東京での2日間は、最新アルバム『オ・マール・エ・ムリェール(海は女)』と同じタイトルの公演。同作品の収録曲を中心に送るライヴとなるようだ。

『オ・マール・エ・ムリェール(海は女)』は2025年6月に発表された最新作。

表題曲は、ポルトガル語では男性名詞である“o mar(海)”が、フランス語(“la mer”)やスペイン語(“la mar”)などいくつかの言語では女性名詞であることを改めて気が付いたことから、“水の持つ女性性”に想いを馳せて作った曲とのこと。「嵐の時には獰猛に荒れ狂い。凪の時には穏やか」な海は女性そのもので「予想不可能な存在」ながら、それを全て受け止め「身を投じた者のみが、神秘に触れられる」と歌う。

1980年作『フェミニーナ』で、女性性(女性であることの本質)について自身の見解を表現したジョイスが、45年後の現在の感覚と視点で女性性を表現した作品が『オ・マール・エ・ムリェール(海は女)』と言える。

収録曲「アデウス・アメリア(さようなら、アメリア)」も女性性をテーマにした歌。こちらは、1942年のヒットしたサンバ「アイ、キ・サウダージ・アメリア(ああ、アメリアがなんて恋しいんだ!)」へのアンサーソングとなっている。

マリオ・ラーゴ&アタウッフォ・アウヴィス作「アイ、キ・サウダージ・アメリア(ああ、アメリアがなんて恋しいんだ!)」は、コミカルに男性の心情を歌ったサンバだ。贅沢好みの女性に振り回されている若く貧しい男性が、過去に付き合っていたであろうアメリアという女性を懐かしむ、という内容。自分のそばでお腹をすかせていても、“清貧”を受け入れて「仕方ないよ」と言ってくれていたアメリアを恋しがり、「アメリアこそが本物の女だった」と称えている。

そして「アメリアは本物の女だというけれど、私はそうは思わない」と歌う「アデウス・アメリア(さようなら、アメリア)」で、ジョイスは、1942年流のユーモアに、2025年流のユーモアで応じている。

歌の中の女性は、「都合よく扱わせない」し「思い通りにはならない」と言いながらも、私は「あなたのハートに火をつける」と、自らの意思で男性を求める。そして「言い訳は通用しない、逃げ道もない」男性は、“ありのままの”彼女を受け止める覚悟を持って女性と向き合うしかない、とジョイスは歌う。

ブラジルで社会の風潮に変化が起こり始め、女性たちが声高々に権利を訴えはじめていた1980年にジョイスが発表した「フェミニーナ」は、女性らしさとは何? という問う娘と、「髪でも、甘えた仕草でも、瞳でもなく、いつだってひとりの女の子でいること」と答える母親との対話で描かれた歌。これは、母親から「あなたは“フェミニーナ”じゃない」と言われた経験に基づいて書かれたという。「断ち切るために人生の糸を縫う」、「心を込めた料理をテーブルに用意して、火をおこしすべて燃やしてしまう」という歌詞からは、一貫してジョイスが、再生と変容を繰り返す神秘的な女性の一面を語っていることがうかがえる。

『フェミニーナ』45周年記念ライブと、『オ・マール・エ・ムリェール(海は女)』ライヴ。ジョイス・モレーノが歌い続けてきた“女性性”を、それぞれ異なる角度から歌う2つのライヴは、シンガー・ソングライターとしての彼女の核心に触れられるステージとなりそうだ。

JOYCE MORENO ジョイス・モレーノ -O Mar é Mulher-
ブルーノート東京
2026 6.30 tue., 7.1 wed.
[1st]Open 5:00pm Start 6:00pm [2nd]Open 7:45pm Start 8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/joyce/

JOYCE MORENO ジョイス・モレーノ - Celebrating Feminina 45th Anniversary –
コットンクラブ
2026 7.2 thu.
[1st] Open 5:00pm Start 6:00pm [2nd] Open 7:45pm Start 8:30pm
https://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/joyce-moreno-260702/

出演は共に、ジョイス・モレーノ(ヴォーカル、ギター)、トゥッチ・モレーノ(ドラムス)、ホドウフォ・ストロエテール(ベース)、エリオ・アウヴィス(ピアノ)。

(文/麻生雅人)