先住民、女性、アフロ系住民の権利を音楽を通じて訴えるアーティストたちが、ブラジル国内15州42都市で巡回公演
2026年 06月 18日
ブラジル各地を巡り開催されている音楽フェスティバル「ソノラ・ブラジル」の第28回が、6月19日と20日の2日間、パラー州サンタレン市で正式に開幕する。
「ソノラ・ブラジル」は、ブラジル商業連盟社会サービス連盟(Sesc)が1998年に立ち上げた、同機関でも最も長く続くプロジェクトの一つで、ブラジルの音楽と文化表現の普及を目的としている。
「このプロジェクトは、音楽の聴き手を育て、ブラジルの豊かさと文化的多様性についての知識を観客に届けることを目的としています」(Sesc全国部文化部門のレオナルド・ミネルヴィニ暫定マネージャー)
全国15州42都市で巡回開催され、テーマに即したアーティストやグループが参加して、年間を通じて全国各地で30〜40公演を行う。
「非常にダイナミックで、熱気に満ちたプロジェクトです。ブラジル文化のさまざまな文脈に応じて、求められるものに応えていく取り組みです」(レオナルド・ミネルヴィニ氏)
同氏によると、フェスティバルの運営陣は常に文化的多様性が反映されるよう努めており、毎回の開催で音楽シーンの新しい動きを取り入れることを目指しているという。
「ソノラ・ブラジル」の今年のテーマは「アフロと先住民族の響き」。先住民族のグループやアーティストたちが参加する。
19日(金)は、Sescサンタレン支部でジアン・ハモス・パンカラルーとスララス・ド・タパジョースが出演。20日(土)は、チラデンチス広場でンデレ・オブレとカボカジが公演を行う。年間を通じて、これらのアーティストは全国で計130公演と30の教育プログラムを実施する予定だ。
スララス・ド・タパジョースは、先住民族の女性たちがカリンボー(パラー州の伝統音楽)のリズムで輪になって歌う。「スララス」という言葉は、トゥピ=グアラニー語族の先住民族の言語ニェエンガトゥに由来し、「戦う女性/戦士」を意味する。抵抗の象徴として使われてきた言葉でもある。スララス・ド・タパジョースは、実際に抗議行動が行われる際、デモの最後に演奏されていた音楽の輪の中から生まれたグループだ。
「今では文化シーンやブラジル音楽の中で大きな注目を集めるようになりました。それが私たち先住民族女性を強くしてくれるんです。まずは、私たちのメッセージ──領土の防衛、女性の権利のための声──を届けたいからです」と、スララス・ド・タパジョースのメンバー、マリーナ・アラピウンは語った。
彼女はまた、音楽活動そのものが、先住民族の権利保障を求める抵抗の一部であると強調して次のように振り返った。
「毎年、私たちは何らかの攻撃を受けています。私たちは常に闘いの中にいますが、闘いは必ずしも苦しいものだけではありません。今年の初めには、タパジョース川を民営化しようとする動きがあり、とても激しく、消耗する闘いでしたが、私たちはそれを阻止することができました」(マリーナ・アラピウン)
さらにマリーナは、こう説明する。
「カリンボーは先住民族運動を強くするためのものでもあります。炎天下で一日中、太陽や雨にさらされながら闘って、夜には、休息や喜びの時間が必要なのです」(マリーナ・アラピウン)
スララス・ド・タパジョースにとって、メンバーがすべて女性であることは、“楽器を担うのは男性で、女性は踊り手に限られる”という従来の構図を崩すことにつながった。
「私たちの活動をきっかけに、女性だけ、そして先住民族女性だけのグループが他にも生まれました。だから、私たちは一つの“モデル”になっていると思います」(マリーナ・アラピウン)
「カリンボーは伝統的に男性が主導してきたというパラダイムを、私たちのグループは打ち破っています。女性だけ、しかも先住民族女性だけで構成された初めてのカリンボー・グループです。こうした場を確立することで、私たちはその構図を覆し、文化シーンの中心に女性の声を持ち込んでいるのです」(マリーナ・アラピウン)
スララス・ド・タパジョースのメンバーのひとりサマラ・ボラリにとって、フェスティバル「ソノラ・ブラジル」は、カリンボーを通じて先住民族の祖先性を示す場でもある。
「よく“地域音楽”とカテゴライズされますが、カリンボーはすでに国中に広がっていて、もはや単なる“地域音楽”ではありません。これはブラジル音楽そのものです」(サマラ・ボラリ)
サマラは続けて、こう述べた。
「この音楽巡回を通じて、私たちの文化表現を国中の人々と共有する機会でもあります。さまざまな地域のグループが出会い、異なる地域の観客と対話できる取り組みです。私たちの知識を届けるだけでなく、学ぶこともできるんです」(サマラ・ボラリ)
ペルナンブッコ州出身の先住民族音楽家ジアン・ハモス・パンカラルー(PE)も今年のツアーに参加する。彼は先住民族と黒人の祖先性を結びつける音楽表現を行い、その活動には先住民族の知識を重視する教育的取り組みも含まれている。
バイーア州のグループ、カボカジは、先住民族とアフロ・ブラジル文化の要素を、エレクトロニックでダンサブルなリズムと融合させたパフォーマンスを展開する。ショーでは、アラゴアス州のシュクルー・カリリ(Xukuru-Kariri)やペルナンブッコ州のフルニオー(Fulni-ô)といったコミュニティへの言及に加え、領土性や歴史的・環境的な修復をめぐる議論も盛り込まれる。
ンデレ・オブレは、リオグランジ・ド・スウ州、連邦区、コートジボワールのアーティストが参加するグループで、アフロおよび先住民族のコンテンポラリー音楽の領域で、音楽・言葉・身体表現を通じて、祖先から受け継いだ文化と未来をつなぐことを目指している。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




