若大将が石川島ブラジル造船所(イシブラス)に就職! 「リオの若大将」、ラテンビート映画祭2015で上映
2015年 10月 2日日本未公開の新作を中心に、スペイン、ラテンアメリカ諸国の映画を紹介するラテンビート映画祭(主催:LBFF 実行委員会)。第12回目となる「第12回ラテンビート映画祭 LATIN BEAT FILM FESTIVAL 2015」が、10月8日(木)をかわきりに新宿、梅田、横浜の映画館で開催される。
これまでも「悩めるジアンのバラード」(第11回ラテンビート映画祭)、「リオ2096(Uma História de Amor e Fúria)」(第10回ラテンビート映画祭)など、毎回ほぼ1作品づつブラジル映画を紹介してきた同映画祭だが、今年はブラジルを舞台にした1968年の日本映画「リオの若大将」が上映される。
「リオの若大将」は、加山雄三が主演した若大将シリーズの12作目。大学卒業を間近に控えた4年生の若大将や仲間たちの姿を描く。
タイトル通り、リオデジャネイロでのロケを交えた本作は、出演者クレジットとタイトルが写し出されたあと、1959年にリオに設立された石川島ブラジル造船所(イシブラス。IHI(旧社名:石川島播磨重工業)の施設)が画面に登場。ここから物語がスタートする。
若大将こと田沼雄一(加山雄三)は、恩師でもある造船設計者、平山博士(宮口精二)のリオデジャネイロ訪問に助手として随行していた。1週間の滞在を終えた平山博士と若大将は、谷村技師長(北沢彪)の招待で、リオでの最後の夜をコパカバーナの日本食レストラン「赤坂」で過ごすことに。
ここで若大将は、宇野という老人(左卜全)が胃痙攣で倒れる騒動に出くわすが、若大将が差し出した、心配性のお祖母ちゃん(飯田蝶子)に持たされていた漢方薬で病気はケロリ。宇野老人は在留邦人の有力者で、東京から来た極東観光の社員、押田澄子(星由里子)から、在留邦人の日本への観光ツアー企画を相談されていたところだった。若大将は澄子に、「田能久」のマッチ箱を差し出す。
帰国後、イシブラスの谷村技師長から預かったお土産を渡すため、若大将は、技師長の娘・江美子(中尾ミエ)と出会う。江美子は学生ガールズバンドのボーカルで、大学バンド合戦における若大将のバンドとのライバルだった。
澄子、江美子、若大将、青大将(田中邦衛)、宇野老人の孫である一郎(久保明)による恋のさやあてや、若大将やその仲間たちが就職をめぐって悩み迷う姿などが、東京とリオを舞台に繰り広げられる。また、加山雄三は劇中で自作のボサノヴァ曲「ロンリー・ナイト・カミング」などを披露するほか、映画と連動して発売されたレコード「君のために」でも、和製ボサノヴァの名曲「暗い波」を歌っている。
「第12回ラテンビート映画祭 LATIN BEAT FILM FESTIVAL 2015」は 10月8日(木)~12日(月・祝)東京:新宿バルト9 (新宿三丁目イーストビル 9 階)、10月23日(金)~25日(日)大阪:梅田ブルク7(E-MA(イーマ)ビル7階)、10月31日(土)~11月3日(火・祝)横浜:横浜ブルク13(TOCみなとみらい6階)で開催。HPはhttp://www.lbff.jp/index.html。
カンヌ国際映画祭2015の批評家週間において、グランプリと国際批評家連盟賞受賞を受賞した「パウリーナ(「La Patota」)」(アルゼンチン、ブラジル、フランスの合作映画)や、カメラドール、フランス4ヴィジョナリー賞 、劇作家・監督・作曲家協会賞を受賞した「土と影(「La tierra y la sombra」)」など注目作品がズラリと並ぶ。同映画祭は劇場では一般公開されない作品も多く上映するので、ラテン文化圏の新作映画を日本語字幕つきで見ることができる貴重な機会だ。
「リオの若大将」は、10月8日(木)21時~(新宿バルト9、シアター8)にて上映。劇場入場券の予約は「KINEZO」(http://kinezo.jp/pc/event_schedule)にて。
(文/麻生雅人、写真提供/LBFF 実行委員会)
写真上は「第12回ラテンビート映画祭 LATIN BEAT FILM FESTIVAL 2015」で上映される「リオの若大将」、写真下は「土と影」