2016年 01月 13日 09:18
今から9年前の2007年、巨大深海海底油田がリオの沖合で発見され、ルーラ前大統領が「神はブラジル人だった」と得意満面で語っていた。
その2年後、ブラジル経済は絶好調だった。そのピークが2016年オリンピック・パラリンピック開催地決定の瞬間で、ルーラ氏は「今日は神に捧げる日だ」と号泣した。
その後も好調に見えたブラジル経済の裏で、労働者党をはじめとした政権与党が行っていた巨額の贈収賄は、神の目を欺くことはできず、資源価格暴落という天罰も伴って、ブラジル経済の土台を蝕んだ。残念ながら、ブラジル経済は次第に下降線をたどり、13年頃から急降下していった。
皮肉なことに、五輪決定を大きく支えたペトロブラスやヴァーレといった旧国営企業の本社がリオ州にあるため、近年の税収が激減し、リオ州は財政破綻に近い状況にある。
まさにリオは天国と地獄を見ているようだ。
ただ、州の財政危機に対してリオ市が緊急融資をしたため、開催自体に支障はない。課題は医療やロジスティクスなどインフラ・ライフラインとなるだろう。
さらに、問題となっているのが治安である(次ページへつづく)。
(文/輿石信男(クォンタム)、記事提供/モーニングスター、写真/dhani b/Riotur)
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