歌うアイドル神父で信者増!? ブラジル・カトリックの新戦略
2013年 07月 27日アルゼンチン出身の「パパ」、カトリック教会のフランシスコ教皇がリオデジャネイロを訪れている。教皇のブラジル訪問は歴代3人目。ジウマ・ルセフ大統領が大々的にアテンドしている他、ブラジル・カトリック教会のカリスマ的存在であるマルセロ・ホッシ神父が、彼の前で歌を披露するということで、話題を呼んでいる。
マルセロ・ホッシ神父は1967年、サンパウロ生まれ。サンパウロ大学教育学部体育科を卒業した頃、おばの脳腫瘍発見といとこの事故死に精神的な影響を受けて、本格的にミサに通い始めた。
しばらくして司祭となり、教会でライブ活動を開始したところ、思いもよらぬ大ヒット。1998年に初めてCDを出して以来、発売するCDやDVDが何度もミリオンセラーになっている。最も売れたCDは、2011年の「アガペ・ムジカウ」で、なんと200万枚以上の売上を記録した。
ホッシ神父のような歌やダンスを取り入れたミサは、従来のカトリックにはなかったスタイルだ。この手法は元々敬虔なカトリック教徒のやり方というより、ここ20~30年の間カトリックに代わって増加しているプロテスタント福音派(エヴァンジェリコ)に近い。
エヴァンジェリコは生演奏やダンスを取り入れたパフォーマンス豊かなミサを行い、人々を虜にしている。ロックのようなミサで楽しみを提供するスタイルを取り入れ、CDも販売して大ヒットを繰り返している。
増え続けるエヴァンジェリコ。最近では郊外や街中に、メガ・テンプロと呼ばれる大きな寺院を次々と建設して、その財力を見せつけているかのようだ。
ホッシ神父もこれに対抗してか、自らの本拠地として700年物の巨大なカトリック教会をサンパウロ市、サント・アマーロ地区に建設している。完成後には当地を拠点に信者を招き、大規模なショウ・ミサを行うと見られている。
カトリック教会は、今後セオリーに留まるか、マルセロ・ロッシ神父のようなユニークな手法をとるかで、運命はわかれていく。フランシスコ教皇の前で彼はどんな歌を披露するのだろうか。
(文/羽鳥益代)
(写真上/Valter Campanato/ABr)
2008年6月23日、ブラジリアの大通りにて行われた、カトリック系ラジオ局Canção Nova(カンサォン・ノヴァ)のミサにて。左からDilma Rousseff ジウマ(ジルマ)・ルセフ大統領府官房庁長官(当時)、Marisa Letícia(マリーザ・レチシア)大統領夫人(当時)、Gilberto Kassab ジウベルト・カサビ サンパウロ市長(当時)、Marcelo Rossi マルセロ・ホッシ神父。