中国交易会がブラジルに本格上陸! 便器からスマホまで約660社が集結
2013年 09月 30日9月8日(日)から10日(火)まで、サンパウロのイミグランテス展示会場にて、「global sources 2nd China Sourcing Fairs in Sao Paulo」が開催された。これは完全にB to Bのイベントであり、テキスタイル、エレクトロニクス、建設、ギフトの4つのジャンルに分かれており、ブラジルでメイド・イン・チャイナの商品を販売しているバイヤーが仕入れに来る。中国本土および香港からの出展者ですべての小間が埋められており、約10,000㎡に950小間660社余りが出展をした。まさにオールチャイナの様相だ。
主催は、Global Sourceという1970年に設立された香港本社のNASDAQに上場しているイベント会社で、年間売上が2.3億USドル規模の会社である。香港、中国から始まって、韓国、インド、アメリカ、南アフリカなど、今や世界中で同様の展示会を開催しており、昨年ブラジルにも上陸。今年は、出展者数が昨年対比85%アップで、950ブースになり、バイヤーもラテンアメリカ全体から来場するとのことであった。
大まかには上記4つのジャンルの企業が出展しているが、会場内でも特に区分けが明確ではなく、写真のようにトイレの便器の横にパーティドレスを展示している光景や、スマートフォン・スマートタブレットだけで、20社以上が展示をしており、他人事ながらパテントは大丈夫か心配になるといった随所に“中国らしさ”があった。
テキスタイルも、中国で売っているようなものをそのまま持って来ている会社から、ブラジル人に合わせてアレンジをして商売気を見せているブースまで様々だ。今はブラジルのどの展示会に行っても、1割から多い時には4割が中国からの出展者と言っても過言ではなく、しかも大きなブースはほとんどなくて、ひたすら1小間、2小間が何百と並んでいて、似たような製品を展示しているわけだが、まさにそれが100%になり、4ジャンルが切れ目なく950ブース並んでいるのは圧巻である。
すでに、韓国やインドなどアジアを中心に海外展開はしているが、一気にサンパウロまで持って来たのは、いかにラテンアメリカの購買力が上がってきたかの証左であろう。ブラジルのギフト関連のショーを視察した際に、展示物のほぼ90%がメイド・イン・チャイナだったのに衝撃を受けたが、聞いてみると年2回広東交易会に赴いて直接仕入れをしている会社がほとんどであった。中国にとってブラジルは、資源を購入する仕入れ先であると同時に、大量に中国製品を買ってくれる上客でもあるのだ。
今年の上半期での2国間貿易は、400億米ドルを超えたらしい。しかし、おそらくレアル安になった為替の問題、ブラジル政府の中国製品に関する規制の強化、さらにはブラジル国内消費の減速を受けて、ブラジルからの発注は今後減少すると思われるが、先手を打って現地に乗り込んでくる行動力はすごい。もちろん中国政府の積極的なバックアップがあることが随所に見て取れ、世界で第2位の経済大国・中国のパワーを感じる。
日本も長い間、同じ会場で毎年ジャパンフェスティバルを開催し、10万人以上の集客を誇っているが、どちらかと言うとB to Cであり、お祭り的な要素が強い。B to Bに関しては過去に経済産業省傘下の日本貿易振興機構(JETRO)が単発で特定分野のイベントを実施したことはあるが、残念ながらこのように毎年開催ではない。日本は、大量生産のコモディティ品では中国に価格競争力でかなわないが、独自の技術力ではまだまだ一歩もニ歩も先を行っているはずだ。ブラジルの企業もそのような日本の先端テクノロジーを輸入したがっているがなかなか出会う機会がない。
日本政府の後押しにより、中堅・中小企業も参加できる「ジャパン・テクノロジー・フェア」をアニュアルイベントとして開催してみてはどうだろうか。ブラジルの開発商工省の方々にも話をしたら、ブラジル政府としてもバックアップするので、ぜひ開催してほしいと乗り気であった。ブラジル企業はイノベーションが必要な時期になっているので、必ずや満員御礼になるはずであり、日本の中堅・中小企業にとっても生き残りのまたとない機会となるはずだ。
(写真/輿石信男)