9年前からあったブラジルのリベンジポルノ事件。ネットセキュリティ専門家が語る対処法とは

2013年 12月 12日

コンピュータと女性

元交際相手の裸や性的な画像、動画などを、インターネット上に無断で公開する暴力行為「リベンジポルノ」。ブラジルでリベンジポルノの犠牲となっている女性は、11月に自殺した二人だけではない。「G1」(11月17日、電子版)が報じている。

すでに9年前にも、リベンジポルノ事件があった。ミナスジェライス州で一人の女性教師が、過去に付き合っていた男性に写真を数千人に流布された。この事件は裁判になり、男性は女性に精神的苦痛を与えたことから慰謝料を支払うよう命じられた。

被害者女性は「少しでもショックの苦痛を和らげるには、裁判をするしかありませんでした」と語る。

7年前にもセンセーショナルなリベンジポルノ事件があった。

2006年、パラナ州マリンガの住人だったジャーナリストのホージ・レオネウさん(当時36歳)は元交際相手に淫らな画像をネットで公開された。

「加害者は1万5000人以上に私の画像を送っただけでなく、自宅と仕事場、挙句の果てには息子の電話番号まで掲載しました」(ホージさん)

「しかも彼は、私がコールガールであり商売をしていると嘘の紹介をしたため、電話が殺到したのです。家族や事務所にも多大な迷惑がかかりました」(同)

ホージさんは裁判を起こした。この事件では、エドゥアルド・ゴンサウヴィス・ダ・シウヴァ加害者は、1年11か月の懲役と、3万ヘアイス(レアル)(約130万円、1ヘアウ=43.832985円で計算)の補償を命じられていることを「R7」(電子版、10月17日)が報じている。

「リベンジポルノは、れっきとした犯罪です。私の事件が最初でもないでしょうし、最後でもないでしょう。でも、被害者を人生のどん底に叩き落としてしまう行為だということを、よく考えてほしい」とホージさんはいう。

また、公開された素材が動画だった場合、より拡散に歯止めがきかなくなる傾向があると「G1」(11月17日、電子版)はいう。

「私は、彼がこういうことをする人ではないと信じていました」(ゴイアニア在住フランさん)

2013年10月に起きたフランさん(19歳)のケースでも、別れた後に元彼が悪質な形で動画を公開して、フランさんはネット上で辱めを受けている。

「私の携帯電話は鳴りやまず、多くの人がメッセージを送ってきました」(ゴイアニア在住フランさん)

2歳の女の子の母親でもある彼女は洋服のショップ店員だったが(学生だったという報道もあった)、仕事を辞めざるを得なくなり、家からも出られなくなった。

「彼は私の人生をめちゃくちゃにしました。もう勉強もできないし働くこともできません」(フランさん)

フランさんの元交際相手は地元紙で名前も公表され警察の取り調べを受けたが、ウーゴ・ヂ・アンジェリス弁護士を通じて自分の犯行ではないと表明しているという。

ネットセキュリティの専門家イオランダ・ガライさんは、多くのカップルが関係を動画に記録していることがデジタル犯罪を生む要因になっていると「G1」(同上)にコメントしている。

「半数以上のカップルが親密な関係を記録しているようです」(ガライ氏)

ガライさんは、「リベンジ・ポルノ」の被害をこうむるのは女性だという点を強調。自分を守るためには自分で気をつけるしかないとアドバイスする。動画や画像があっても、チャットなどネットでは相手に見せないこと、どうしても撮影する場合は、顔は出さない、声を出さない、名前を言わない、という点を気をつけるべきだという。

ブラジル弁護士会(OAB)のネット犯罪に関する代表アレシャンドリ・アセニエンシ氏によると、女性が録画自体に同意していたとしても、ウェッブ上にこのような録画物を置くことは犯罪になるとのこと。

「マリア・ダ・ペニャ法は、身体的な保護だけでなく心理的な面、女性の尊厳を守るものです。デジタルを使った生活は現代の生活そのものですから」

(文/麻生雅人、写真/Eurritimia)
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