ジョゼ・パジーリャ監督が語る「ロボコップ」

2013年 12月 18日

ロボコップサブ
2014年に公開が予定されているリメイク版「ロボコップ(原題「RoboCop」、ブラジルでは「RoboCop: A Origem」)」のジョゼ・パジーリャ監督の最新コメントを、12月15日(日)に、監督の母国であるブラジルのさまざまなメディアが伝えた。

まずは「フォーリャ・ヂ・サンパウロ」(電子版)。

パジーリャ監督はブラジルで「エリート・スクワッド(トロッパ・ヂ・エリッチ Tropa de Elite)」(07)と「エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE(Tropa de Elite 2)」(10)を大ヒットさせた後、ハリウッドに招かれた。

「今回の『ロボコップ』はスーパーヒーローの活躍を描いた大作映画ではありません。主人公は、ある美しい朝、目が覚めると自分がロボになっていることに気づくのです」

「エリート・スクワッド」と「ロボコップ」はどちらも警察機構を舞台にした物語ではあるが、パジーリャ監督は、「ロボコップ」の主人公アレックス・マーフィは「エリート・スクワッド」のナシメント大尉との共通項はまったくないという。

「『ロボコップ』は自動制御化された戦争について描いています」

しかし、社会と暴力の関係を描いているという点では、共通項はありそうだ。監督によると、都会の暴力について言及しているという点では、「エリート・スクワッド」とも、「バス174(Ônibus 174)」(02)とも、6月にブラジルで起きたデモにおける暴力行為とも通じるテーマはあるという。

12月15日付け「ジョルナウ・ヂ・オージ」(電子版)でも、ジョゼ・パジーリャ監督の作品に一貫して流れる哲学について語っている。

「エリート・スクワッド」も「バス174」も、先住民族のヤノマモ族が、これまで科学者や人類学者たちによる暴力的行為にさらされてきた隠された事実を告発するドキュメンタリー映「Segredos da Tribo(部族に伝わる秘密)」(10)も、自身が抱いた疑問が、フィクションであったりドキュメンタリーであったりと形はさまざまだが、作品になったものだという。ジョゼ監督が投げかける問の答えは、人類学、社会学、哲学などから導き出される。

「ただし、そんな哲学についての話はハリウッドのミーティングテーブルではしませんけどね。ハリウッドで問題になるのは、以下に映画が観客に受けるかだけですから」

ところで、ジョゼ監督が「ロボコップ」を手掛けることになったいきさつは偶然に得たチャンスだったという。

「実は、はじめは『ロボコップ』のために招待されたわけじゃなかったんです。ハリウッドのMGMのミーティングに呼ばれて行ってみると、同社は『ヘラクレス』の監督を私に依頼しました。その時ミーティングルームに『ロボコップ』のポスターが貼ってあったのです。私は『ヘラクレス』は興味ないけど、あれならやるよ、とポスターを指さしたのです」

その時点でMGMが「ロボコップ」の制作を予定していたことを、ジョゼ監督は知らなかったという。当初「ロボコップ」は「ブラック・スワン」(10)のダーレン・アロノフスキー監督の手で進められ、ダーレン監督は脚本も書いていたが、制作を断念していたという。改めて「ロボコップ」の制作はジョゼ・パジーリャ監督に打診された。

「私のアイディアでは、舞台は2030年くらいの設定です。飛行機もパイロットなしでリモートコントロールで飛んでいる世界です。ロボットも、自分で意思で攻撃を決定して爆弾を投げることができるようになっています」

しかし、アメリカ合衆国以外の世界中が、新しいテクノロジーを使っている、という設定だ。

「アメリカでは法律があって、市民の生活を機械が決めてはいけないという法律が承認されたのです。そのためある大企業が、機械と人間を合体させることを考え、北アメリカのマーケットに参入するのです」

こうしてロボコップは誕生する。

「私は機械化された戦争やモラルについて描きたかったのです」

(文/麻生雅人、写真/2013 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. and Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved)
「ロボコップ」配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、2014年3月14日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー