サッカーをこよなく愛するブラジルで、ワールドカップ反対デモが起こる理由

2014年 03月 29日

デモが起こる理由

世界中の人が疑問に思っている事?

世界で一番サッカーが好きな国民が、サッカーの祭典を台無しにしようとしてるの?

なぜなせ?サッカー好きでしょ?

ワールドカップだよ、しかもブラジル大会?

なぜ、反対デモするの?

なぜ、ブラジルに来るな運動をするの?

多くの人に疑問に思われる方が多いこの問題は、ブラジル政府の経済施策に端を発しているという意見があります。

ブラジル政府は国民生活の底上げを、近年努力して行ってまいりました。

貧困層と呼ばれている層の底上げを積極的に行い、最低賃金を2倍にするなど、貧困層の生活面の向上を図りました。実はそれが、デモなどのワールドカップの開催不安に寄与しているのです。

状況をたとえで説明します。ブラジル社会をAの裕福層からEの貧困層まで分類する事が出来たとしましょう。いわば近年のブラジル政府はEの貧困層を一つ上のDのクラスに上げる施策を打ち、バラマキ施策などと言われながらも実質Dのクラスが増加しました。確かにこの事は、ブラジル経済の消費増加に貢献しました。しかし、一方でこの施策を快く思っていない層があります。

それは今まで中間層を形成していたCの人たちです。

新Dクラスの消費の増加に伴い、物価が大幅に上昇しました。その為、収入の変わらないCクラスの人たちは物価上昇の影響を受け実質Dクラスに落ちてしまったのです。

今年10月には大統領選挙が予定されています。

今のブラジル政府の票の基盤は、EからDに上がった人や、これからDに上がろうとしているEの人たちです。

ブラジルの選挙は国民の義務となっており全員が選挙に行かなければ罰則を受けるシステムです。その為、投票率は基本100%です。

一票に貧富の差はありません。だから、大票田である層に対して、依然として現ブラジル政府はこの底上げ施策を進めています。

その為、デモという行動に出ているのがこの施策を快く思っていない、旧Cクラスの人々です。

彼らはFacebookを使う層です。そこで本来は楽しみしていたワールドカップを利用し、政府に対して抗議をしている。というのが、今のワールドカップの反対運動の原因の一つと言われています。

政府もシンクタンクを活用し対策を進めています。

もし、競技場内でデモや、開催中の大規模な暴動など、開催継続に支障をきたす事態が起こった場合、ブラジルは世界的な信用力を失い、ひいてはオリンピックの開催地変更や、近年めざましい外国資本の撤退など、多くのものを失う可能性を秘めています。

開催まで約3か月に迫った今こそ、ブラジルの人々にはその事を意識してもらいたいと思います。

ブラジル全土がデモでなく、カナリヤ色に統一された景色を期待して!

かんばれブラジル!

(文/石原聖士、写真/Fernando Frazão/Agência Brasil)
写真は2014年2月にリオデジャネイロで起きた講義デモ