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Entrevista Bianca Gismonti ビアンカ・ジスモンチ

ビアンカ・ジスモンチ

ところでビアンカの音楽は、ブラジル北東部の音楽の影響も色濃い。ステージでもフォホーのリズムを持つ曲を演奏していたが、曲を紹介するとき、フォホボドーという言葉を使っていたのが印象的だった。

フォホボドーとは、現在一般的にホフォーと呼ばれている音楽(あるいはダンス、ダンスをする場所)の語源で、今も北東部では使われている言葉だ。北東部の音楽への造詣の深さもまた、ナナの影響なのだろうか。

「ステージでは、父の曲「フォホボドー」を演奏しました。父もこの曲をフォホボドーと名づけていますけど、リオでは一般的にはフォホボドーとは言いませんね(笑)。北東部では今もそう呼ぶことがあります。ナナから北東部の文化の影響を受けている部分もあることはあると思いますが、母のからの影響も大きいんですよ。母(へジャーニ・メデイロス)はリオグランヂドノルチの出身なので、私にとって兄にとっても、北東部の音楽は私たちの一部なんです。母の故郷はナタウの近くのアカリという街です。家族の一部がまだアカリに住んでいます」

無論、ビアンカにとって北東部の文化や音楽に関しても、父エギベルト(エグベルト)からの影響が多大であることはいうまでもない。

ビアンカはそんなフォホーのリズムにせよ、アフリカ由来のリズムにせよ、ブラジル音楽が持つ多様なリズムを、自身のピアノ演奏で繰り出す。演奏のスタイルはジャズであれクラシック音楽調であれ、その中に、自在に様々なリズムを入れ込んで演奏する。

「私のトリオでは、どんな種類の音楽を演奏するときでも、もとの音楽を奏でている楽器に近い演奏の仕方を取り入れます。フォホーでは主にサンフォーナ(アコーディオン)、ザブンバ(太鼓の一種)、トリアングロ(トライアングル)で演奏されますが、サンフォーナは鍵盤楽器でメロディも奏でますがリズムも刻みます。ですから私たちがフォホーを演奏するときは、私のピアノで、その3種の楽器の演奏を表わします」

伝統的な音楽に影響を受けて、それを現代の楽器の演奏で表現をするとき、伝統的な音楽の中にある最も大切なものは何かを掴んで、それ表現することが大切なのだという。

「例えばアフリカのリズムを使った曲を演奏するとき、伝統的な打楽器を使わなくても、その太鼓で叩かれている特徴的なリズムの刻み方や音の出し方を、私たちの楽器で繰り出します。私はピアノでそれをやります」

そしてピアノは、そういった様々な楽器のリズムや音を置き換えて演奏するには適した楽器だという。

「ピアノはとても興味深い楽器です。2本の手を使い、そこには10本の指がありますから、実にいろいろなリズムや音を、置き換えて演奏することが可能になります。4つの楽器の音を1台のピアノで置き換えて演奏することもできます。父はザブンバとトリアングロを、右手と左手で役目を入れ替えながら演奏していました。マラカトゥなど田舎のお祭りの楽団が鳴らしている音を、すべてピアノで置き換えて演奏することもできます。だから私の演奏も父の演奏も、ブラジルならではのピアノ、だと言えると思います」

(文/麻生雅人、撮影/米田泰久、写真提供/COTTON CLUB)

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