銀行の女性支店長、偽の爆破物で脅迫され約3000万円強奪される

2015年 01月 2日

イタウ銀行現金強奪事件

2014年12月31日(水)、サンパウロ市南部のモエマ地区にあるイタウ銀行支店の女性支店長が身体に爆発物らしきものを仕掛けられ、支店の金庫にあった推定70万ヘアイス(レアル)(約3170万円)を脅し取られる事件が起きた。現地メディア(「G1」同日づけ)が伝えている。

被害に遭ったのはサンパウロ市インジアノーポリスにある、イタウ銀行コトヴィア大通りモエマ支店。

支店の斜め向かいにはスーパーマーケット「パォン・ジ・アスーカル」があり大晦日の買い物で賑わっていたが、事件後、午後1時半ごろには銀行前の通りが一時封鎖される騒ぎとなった。

軍警察のアンドレ・グルジェウ中尉は、脅迫犯は逃走しており、支店長は無事に解放されたと語ったという。

中尉によると、支店長はこの日の朝8時頃、ジャルジン・イタコロミ地区の家を出たところ彼女の車の中で、少なくとも2名の男たちに身柄を拘束されたと語っているという。

供述によると、彼女はいずれかのファヴェーラに連れられてゆかれ、男たちによって、背中に見せかけの装置を縛りつけられたという。また支店長は、男たちは嘘もついており、彼女の息子も人質に取っていると語ったという。彼女は男たちの言うままに銀行に連れられていった。

中尉によると、支店長は支店を開け、金庫に入っていた現金を取り出した。支店長によると、おそらく約70万ヘアイス(レアル)が入っていただろうとのこと。銀行を出た後、彼女は二人に現金を渡し、二人は徒歩で姿を消した。

イタウ銀行 爆弾

警察によると、支店長の行動は離れた場所にいた男に監視されていたという。

「男たち自身は支店の中には入らなかったのです。爆弾が自身の身体に仕掛けられていると脅されていた彼女は、単身で現金を取り出しバッグに詰めました」(グルジェウ中尉)

男たちが逃走した後、支店長は警察に助けを求めたという。

「特殊戦術実行部隊(GATE)が到着する前に、装置は彼女によって取り出され、椅子の上に置かれていました。彼女が他の誰かの助けを得たかどうかはわかりません」

GATEは、爆破装置には約500グラムのダイナマイトが仕掛けられていたことを確認したと伝えられたが、その後ブルックリン地区の軍警察96分署署長は、爆発物と思われた装置の素材は偽物だったと発表した。

「私の手に渡された装置は爆発物ではなくよく似せて作られたものでした」(ジョアン・カルロス・ウェビ署長)

(写真・文/麻生雅人)
写真は12月31日午後13時~14時頃、被害に遭ったイタウ銀行支店前