本場パラー州で、人気レストランがアサイー産地ツアーを主催
2015年 01月 18日この約10年で、日本でもすっかり浸透した感のあるアサイー。TVグローボが番組「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランジス・ネゴーシオス」で12月21日付で伝えたところによると、本家ブラジル・パラー州では、アサイーは「食品」というジャンルを超えた経済的資源になりつつあるようだ。
アサイーはパラー州の食文化に深く根ざしていて、アイスクリームやデザート、飲料に使われているだけでなく、ほぼ主食のようなものだと言われる。
アサイーは地元の市場で14キロ20-80レアル(約1000-1600円)で売られているという。パラー州の州都ベレンでレストランを経営しているナザレーノ・アウヴェスさんは市場の常連で1日約200キロのアサイーを購入する。
ナザレーノさんが経営するレストランの一つ「ポイント・ド・アサイー(ボレヴァー店)」は、140年前からベレンにある3階建の建物を使っている。ここでは1か月で16,000リットルのアサイーペーストが消費されるという。
アサイーの食べ方は、魚のフライやエビの炒め物、ステーキなどと共に食べたり、マンジョッカイモの粉をかけて食べたりと、いろいろだ。
ナザレーノさんは事業を始めた当初からSEBRAE(ブラジル零細・小企業支援サービス機構)の支援を受けており、現在は同機構が開催する、食の安全に関するプログラムに参加している。
また、ナザレーノさんはレストランを経営する傍らで、アサイーの生産地から消費までをたどるツアーを運営している。参加費は一人70レアル(約3500円)。ツアーはSEBRAEが提案し、パラー州の観光振興局の支援を受けて実現した。今では観光客の呼び込みに大いに貢献している。
ツアーはアマゾン川支流沿いのアサイーの生産地まで船で向かうところから始まる。船がヘベイリーニャスという小さな集落につくと、観光客は地元生産者がアサイーの木に登って実を取ってくるところから見学する。収穫された実は丁寧に手で枝から外され、洗浄、ペースト化という順番で加工されていく。
観光客はアサイーの収穫・加工プロセスだけでなく、経済的に厳しい集落住民の生活ぶりも目の当たりにする。
ナザレーノさんは言う。「ツアーの参加者はただアサイーが製品化されるまでのプロセスだけが見たいわけではない。自分の常識の外にあることを知る、特別な体験を求めて参加してくるのです」
ツアーは、ナザレーノさんのレストランで締めくくられる。アサイーペーストは小ぶりのどんぶりに注がれたものが提供される。料理はツアー料金とは別でレストランのメニューから客が好きなものを選ぶ。価格帯は約40-100レアル(約2000-5000円)とのこと。
ナザレーノさんは言う。「アサイーは単なる食品ではなくて、パラー人の生活、文化の中心、パラー人の刻印のようなものなのです」
彼はレストランの経営とツアーから月に20万レアル(約1000万円)を売り上げている。
アサイーを知ることはパラー人を知ること、その発想がアサイーツアーという独自の商品、利益の源を生み出したともいえそうだ。
POINT DO AÇAÍ ポイント・ド・アサイー(ボレヴァー店)
Av. Boulevard Castilhos França nº 744 – Comércio Belém/PA
パラー州ベレン市コメルシオ地区ボレヴァー・カスチーリョ・フィランサ大通り774
Telefone: (91) 3225-4647
www.pointdoacai.net
(文/原田 侑、写真/Reprodução/「Pequenas Empresas & Grandes Negócios」/TV Globo)
「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランジス・ネゴーシオス」より「ポイント・ド・アサイー」のツアーや店内。「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランジス・ネゴーシオス」は日本ではIPCTV(グローボ・インターナショナル)で放送中