ヘシーフィの刑務所で暴動、軍警察官を含む3名が死亡

2015年 01月 22日

刑務所で死者

1月19日(月)から20日(火)にかけて、ペルナンブッコ州ヘシーフィ(レシフェ)西部にあるクラード複合刑務所(旧アニバウ・ブルーノ刑務所)の施設のひとつで暴動が発生、3名の犠牲者が出たと社会復帰執行局(Seres)や人権法務局が公表した。国内外のメディア(「G1」同日づけ、20日付けなど)が伝えている。

犠牲になったのは軍警察官のカルロス・シウヴェイラ・ド・カルモさん(44)と、受刑者のエジヴァウド・バホス・ダ・シウヴァ・フィーリョさん(29)、同じく受刑者で、マリオ・アントニオ・ダ・シウヴァさん(52)。その他に29名以上が負傷した。

19日の朝、刑務所内で受刑者の一部が、裁判の迅速な手続きを訴える抗議デモが行っていた。このデモは、メッセージを掲げた垂れ幕などを手に施設の屋根に上りハンストを行うなど、システムの改善を訴える平和的なものだったという。看守のひとりによると、施設内の環境が過密状態であることにも囚人からクレームが出ていたという。

しかし昼過ぎに混乱がはじまり、取材をしていたテレビ局のクルーが銃声や爆発音を聞いた。軍警察が出動、刑務所の周囲には戦闘大隊も配備された。午後15時ごろには社会保安局のヘリコプターが刑務所上空を飛行した。ただし、午後の早い時間には、社会復帰執行局(Seres)は混乱は起きているが制御下にあると発表していた。

犠牲になった軍警察官カルモさんは3つの棟を繋ぐ複合施設の中央部分を監督していて、銃弾を受けたという。

暴動は19日の夜まで続き、一時沈静したと見られたが翌20日(火)も暴動は再熱。朝10時頃からまた発砲がはじまった。軍警察の戦闘大隊も再び出動、正午ごろに施設に突入した。3台の消防車も施設内に待機していた。午後になったころには施設の外にも銃声や爆発音が聞こえていた。

そして20日(火)夕方17時ごろ、人権法務局が3人目の犠牲者が施設内で出たことを公表した。犠牲となったマリオ・アントニオ・ダ・シウヴァさん(52)は施設内の中庭で斬首されていたという。マリオさんは麻薬密売の罪で2006年から服役していた。

「マリオさんの殺害は警察が活動していた時間外に起きた。彼の死後、警察や当局への投石があった。その後、戦闘大隊が催涙ガスを使って暴動は鎮圧した」(人権法務局ペドロ・エウリシオ長官)

クラード複合刑務はヘシーフィ(レシフェ)市のサンショ地区にある。以前はアニバウ・ブルーノ刑務所と呼ばれていたが、改修後、3つの施設をもつ複合刑務所となり、それぞれの施設がフランシスコ・マルセロ・ジ・アラウージョ、フレイ・ダミアォン・ジ・ボザーノ、ジュイース・アントニオ・ルイス・リンス・ジ・バホスと呼ばれている。

パキスタンのメディア「ビジネス・レコーダー」(20日づけ)は、ブラジルの刑務所内には563,000人の受刑者がおり、受刑者人口は米国、中国、ロシアに続き世界で第4位にまで膨れ上がっているというアムネスティ·インターナショナルの報告を紹介した。人権団体NGO Conectasは、ブラジルの刑務所が過密状況を回避するためには、20万人分以上の空スペースが必要だと訴えているという。

同紙によると、ペルナンブッコ州は1月に2つの新しい刑務所の開設と、他の刑務所の規模を拡大する計画があるという。

(文/加藤元庸、写真/Reprodução/TV Globo)
写真は裁判の遅れなどに抗議する囚人たち。「グローボ・ニュース」は日本ではIPCTV(グローボ・インターナショナル)で放送中