HSBC銀行スイス支店のブラジル人顧客は世界で4番目。秘密口座は8700件以上
2015年 02月 10日英国系の金融グループHSBC社のスイス支店に、ブラジル人が開設した秘密の口座は8700件以上あり、それぞれの口座への送金額は合計70億ドルに上る。
同銀行スイス支店は全世界10万人が利用しており、ブラジル人の顧客は4番目に多いという。
HSBCはどこの誰が送金した金かといった詳細にこだわらないため、脱税目的で口座を開設、本国では申告されていない金が振り込まれてくるケースも多く、ブラジル人の顧客にも、麻薬密売者や軍政時代の迫害者、その他の犯罪者が含まれているという。
現在、ブラジルで物議を醸しているペトロブラス絡みの汚職事件”ペトロロン”で褒賞付の供述を行った被告達は、同国内の銀行に18の口座を開設し、賄賂を受け取っていたという。
HSBCスイス支店にあるブラジル人の口座は8700件を超え、最も古いものは1970年代に開設されたという。ブラジル人の口座には計6600人の名前が挙がっているとされ、最も多額の口座には、1人の名前で3億ドル以上が預け入れられているという。
同銀行スイス支店では2008年、従業員の一人が顧客リストを盗み出して当局に提出するという事件が起きた。
同銀行の口座開設基準が緩やかで、その審査も甘い事は、国際的な非難の的にもなっており、口座開設者の名義は麻薬や武器の密売者から著名な音楽家やスポーツ選手にまで及ぶ。
世界中から預け入れられた金額は総額1千億ドルに上るが、2007年からは口座開設のための審査がより厳格になったため、顧客の70%を失ったという。それでも、それ以前に開設された口座に関しては、犯罪組織とのつながりなどを完全に否定できないというから相当だ(9日づけ「エスタード」紙より)。
(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Getty Images)
写真はHSBC銀行スイス支店