2016年リオ五輪のホテルになるはずだった建物からの不法占拠者立ち退き執行で、警察と住人が衝突
2015年 04月 18日4月14日(火)、リオデジャネイロ市の空きマンションから、不法占拠者を強制立ちさせるオペレーションが行われ、不法占拠者と軍警察が衝突する騒動が起こった。「オ・グローボ」、「G1」などの現地メディアや、合衆国のネットメディア「USA TODAY」などが伝えた。
騒動があったのはリオ市南部(ゾナスウ)のボタフォーゴ地区フイ・バルボーザ大通りにある集合住宅ビル、イウトン・サントス。建物は資産家エイキ・バチスタ氏が率いるEBXグループが所有しており、2016年のリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックに供えてホテルに改築される予定だったという。
景気の良かった頃には「フォーブス」誌の億万長者リストにも入り華やかな人生を歩んでいたエイキ氏だったが、オイル、鉱業、物流、造船など多岐にわたったエイキ帝国は崩壊し、建物は2年以上もの間、空のままで放置されていた。荒れ果てた建物には、住居のない人たちが集い、暮らしていた。
不法占拠者の多くは最近、リオ市内の居住区や建物から追い出された人たちだという。建物に居住することを意図しているわけではなく、手ごろな価格の住宅を提供してもらえる可能性を考え市役所と交渉をするためと、当面の生活のために一時的に建物を占拠していたという。
リオ市は市の西部、サンタクルース地区に130人を収容できる避難所を用意、公選弁護人によると約200名がまだ建物に残っていたという。残った不法占拠者は、マットレスなどでバリケードを作り、低所得者でも居住が可能な住宅を求める要求が満たされるまで居座ることに決めた。
立ち退きの執行は第36地方裁判所のレオナルド・アウヴィス・バホーゾ判事によって許可された。不法占拠者たちは4月7日から集合住宅ビルに入り込んでいた。
14日の朝10時ごろ、不法占拠者たちは建物内にあったマットレスに火を放ったことから警察が突入、混乱が始まった。3名が拘束されて警察署に身柄を移送されたが、うち2名は、一人の警官が、近くに子供がいる場所で唐辛子スプレーを使ったことを非難して警官ともみ合いになったという。
小さな子供を抱いて建物から出ようとした時、子どもともども警官に唐辛子スプレーを浴びせられた占拠者のひとりカルロス・アレッサンドロさんは、子どもに対するスプレーの使用を非難した(次ページへつづく)。
(文/加藤元庸、写真/Reprodução/Globo News/TV Globo)
写真は14日、占拠された集合住宅ビル、イウトン・サントス。TVグローボのニュース「RJTV」より。TVグローボのニュース番組はIPCTV(グローボ・インターナショナル)で放送中。視聴の問い合わせは、080-3510-0676 日本語対応ダイヤルまで