オスカー・ニーマイヤー設計のニテロイ現代美術館は本当に空飛ぶ円盤だった!?

2015年 07月 17日

二―マイヤー展

リオデジャネイロ州ニテロイ市にあるニテロイ現代美術館。近未来的で宇宙船をも思わせる同美術館が、ボアヴィアージェン地区の岬から回転しながら離陸して宙を舞った!?

同美術館は、ブラジルを代表するモダニズムの建築家オスカー・ニーマイヤーが手掛けた建造物の中でもよく知られる建造物のひとつ。お盆をひっくり返したような円盤型のデザインで知られているが、水面の上に大きく開いた花のイメージだとニーマイヤー自身は語っているという。

その美術館が宙に浮かんだ...というのは、7月18日(土)から東京都現代美術館で開催される「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」の中でも紹介されるというマーク=アンリ・ウォンバーグによるドキュメンタリー映画の中のワンシーン。もちろん架空の場面だ。

オスカーニーマイヤー展

この映像は、5月22日(金)に駐日ブラジル大使館にて行われた「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」開催発表会見にて紹介された。

「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」は、ブラジルのモダニズム建築の父、オスカー・ニーマイヤー個人にスポットをあてた、日本における初の大回顧展となる。展覧会では、ニーマイヤーの代表的な建築物を様々なサイズの模型で展示される。代表作のひとつであるイビラプエラ公園の30分の1の模型は、アトリウムの大型空間でダイナミックに展開される。

オスカー・ニーマイヤーは1907年12月15日、リオデジャネイロ生まれ。リオデジャネイロ国立芸術大学建築部を卒業後、ルシオ・コスタの設計事務所に勤務。

1936年、ブラジルのモダニズム建築の基礎を作った建築家といわれるルシオ・コスタと共に共育保険省計画の設計チームに加わる。このとき設計された旧教育保健省庁舎は、ブラジルにおけるモダニズム建築の金字塔とされているという。

1939年にはルシオ・コスタと共にニューヨーク万博ブラジルパビリオンの設計チームに参加。

同年、当時ベロオリゾンチ市市長だったジュセリーノ・クビシェッキの依頼でパンプーリャ地区建築群の設計を請け負う。パンプーリャのサンフランシスコ・ヂ・アッシス教会以降、曲線を使った建築デザインがニーマイヤーの看板となる。

1947年、建築家国際委員会の委員に。1952年、委員会の一員として国連本部の設計を手掛ける。同52年、自身の家としてリオデジャネイロにカノアスの家を設計した。

1954年、イビラプエラ公園を設計。

1956年、ジュセリーノ・クビシェッキ大統領からブラジルの新首都設計計画を依頼される。57~58年にかけてブラジリアの建築群を設計する。

その後も国内外で活躍、ニテロイ現代美術館(1991年、リオデジャネイロ州ニテロイ市)、イビラプエラ公園講堂(1999年、サンパウロ市)、オスカー・ニーマイヤー美術館(2002年、パラナ州クリチーバ市)、チラデンチス宮(2010年、ベロオリゾンチ市)、ルイス・カルロス・プレステス記念館(2015年予定、ポルトアレグリ市。建設開始は2011年)などを手掛けたリ関わったりした。

2012年12月5日、104歳でこの世を去った。

「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」
会場:東京都現代美術館(江東区三好4-1-1)
東京メトロ半蔵門線・清澄白河駅B2番出口より徒歩9分
都営地下鉄大江戸線・清澄白河駅A3番出口より徒歩13分
会期:7月18日(土)~10月12日(月・祝)
休館日:月曜日(7月20日、9月21日、10月12日は開館)と、7月21日、9月24日
観覧料:一般1100円、大学生・専門学校生・65歳以上800円、中高生600円、小学生以下無料
http://www.mot-art-museum.jp/

(写真・文/麻生雅人)