ブラジルでは、国民の1%未満が国全体の富の約30%を独占!?

2015年 08月 2日

大富豪のボーイング747

汚職スキャンダルと経済危機で将来に対する不透明さが浮き彫りになりつつあるブラジルで、また一つ気分が重くなるニュースが報じられた。

グローボ系ニュースサイト「G1」が8月1日(土)に伝えたところによると、連邦国税庁が発表した個人の所得・財産申告に関するデータから、ブラジルの富の集中度合が読み取ることができるという。

データによれば、たった0.8%の納税者が国全体の富の30%を保有しているとのことだ。

2012年から2013年にかけて、月額最低賃金の160倍以上の所得を得ている人口は7万3千人から7万1千人に減少した。この層は全人口の0.3%にあたり、超富裕層と呼ばれる。

この数少ないエリート層が2013年度において、全国民の収入の14%、資産の21.7%を所有していることが歳入庁のデータから明らかになった。

金額にすると収入は2980億レアル、資産は1兆2千億レアルで、一人あたりに換算すると収入で年間417万レアル、資産で1千700万レアルだという。

この0.3%に最低賃金の80倍の層を足しても0.8%だが、この層が稼得する7.8%の所得を足すと、人口の1%未満が約30%の財産を保有していることになる。

セルジオ・ヴォウフィ・ゴベッティ氏とホドリゴ・オターヴィオ・オライール氏は応用経済学機構(IPEA)の調査員だが、その二人が「ヴァロール・エコノミコ(Valor Economico)」誌で語ったところによると、今回国税庁がこの種のデータを初公開したことは『民主化からのプレゼント』だという。透明化という観点では大きく前進したとも語っている。

一方、『21世紀の資本』のベストセラー著作で知られるフランス人エコノミスト、トマ・ピケティ氏は、ブラジルの富と歳入に関するデータを見たいとの要望を出していたが、未だに返事は受け取っていないという。

「G1」の取材によれば、国税庁の情報開示で新しい点は個人の所得申告に関する年次報告書以外にもある。透明性の高い情報開示を目的とした調査員の求めに応じる形で2007年から2013年の期間分のデータをexcel形式で入手できるようになったという。2014年度の情報開示時期はまだ発表されていない。さて、2013年度のデータを眺めてみると…(次ページへつづく)。

(文/余田庸子、写真/Greenpoint Technologies/Divulgação)
写真は、2015年5月にBBCブラジルが報じた、大富豪によって改装されたボーイング747の機内。改装費は20億ヘアイス(レアル)相当だという

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