「経済的開放度」、ブラジルはG20で最下位。日本は…
2015年 09月 6日9月5日(土)、各国・地域の経済状況を中心テーマとして討議するため、トルコのアンカラでG20財務相や中央銀行総裁が会合を行った。ブラジルからはジョアキン・レヴィ財務相が出席している。
そのG20参加国・地域にとって気になるデータが国際商工会議所(ICC)や世界銀行から発表されていると、グローボ系ニュースサイト「G1」が9月5日付で報じている。
国際商工会議所(ICC)の調査において、ブラジルは国際貿易における市場開放度がG20で最下位だったという。
ブラジルの開放度は2.3(最低1-最高6)で、アルゼンチンやインドよりも低いという結果となった。とはいえ、ブラジルの開放度は2013年の2.2に比べて少し向上している。
G20の中で15か国が開放度を向上させている。輸入の増加やガソリン価格の上昇などを受け、ロシア、カナダ、韓国は平均以下を脱し、「平均的」レベルに上がった。
貿易の増加が経済成長と雇用創出の源だと言いつつも、G20の中に市場開放を推進しようとするリーダー役はいなかった。
調査ではG20のほとんどが世界平均より開放度が低いことも示している。世界の開放度平均は2015年で3.7、2013年で3.6、2011年で3.5だった。
世界の平均を見る限り、開放度は改善している。そのけん引役はアジアの国々だ。シンガポール、香港は2011年、2013年に続き3回連続でアメリカ合衆国などの先進国を抜いて解放度ランキングの上位を占めている。
ICCが公開している指標には75か国の状況が反映されており、判断の基準は現状の貿易開放度、貿易政策、海外からの直接投資受入れ状況、経済インフラ整備状況の4項目だ。
また、世界銀行が公表している統計によると、2014年、国内総生産に対する輸入量ではブラジルは調査対象の137か国中135位、14.3%だった。一方輸出額は2250億USドルで、国内総生産のたった11.5%、131位だった。
エコノミストであり、リオ・ブランコ大学で国際貿易の教鞭をとるカルロス・ステンピニウスキ氏はいう。
「国際的な市場におけるブラジルの存在感は非常に薄い。ブラジルの取引額はが世界の貿易額の1%程度にとどまっている」
ブラジル製品の主な輸出先は中国、アメリカ合衆国だ。中国はブラジルの輸出先の18%を占めるが、中国は自国の輸出振興のため通貨切り下げに踏み切り、今年の経済成長率は当初の予測より低い7%未満に終わると見込まれる。
ステンピニウスキ氏いわく、その他の主要な貿易相手国はアルゼンチン、ベネズエラ、アフリカ諸国、ロシアだが、自国の流動的な経済状況からブラジルからの輸入を停止するか、ごく少額の取引にとどめるに至っているとのことだ。
G20の市場開放度(国際商工会議所(ICC)による。EU除く19か国)
1.ドイツ 4.3
2.カナダ 4.2
3.オーストラリア 4.1
3.イギリス 4.1
5.フランス 3.9
5.サウジアラビア 3.9
7.韓国 3.8
8.イタリア 3.7
8.アメリカ合衆国 3.7
10.日本 3.6
11.南アフリカ 3.3
12.トルコ 3.2
13.インドネシア 3.1
13.メキシコ 3.1
13.ロシア 3.1
16.中国 3.0
17.インド 2.6
18.アルゼンチン 2.5
19.ブラジル
(文/余田庸子、写真/APPA)
写真はパラナ州パラナグアー港。同港に関しては2015年5月の輸入量は3万3182TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個分)で、2014年の同月より14%高かったという