“ブランド離れ”が進むブラジル
2015年 10月 4日グローボ系ニュースサイト「G1」が9月28日付で伝えたところによると、この2年間でブラジル国民の消費志向に、あるひとつの変化が見られるという。特定のブランド、商標に対するこだわりが弱くなりつつあるというのだ。
この傾向はコンサルティング会社、ベインアンドカンパニー(以下「ベイン社」)が発表した、世界各国を対象とした調査「マネージメント手法と傾向」のラテンアメリカ部門の調査結果に示されている。
他国の傾向とは逆に、ブラジルとメキシコでは、調査対象となったエグゼクティブの68%が「商品ブランドに対するこだわりは特にない」と答えているという。
2013年に発表された調査では同じ質問に対し、両国で63%という結果だった。2013-2014年の間にラテンアメリカ全体でブランド離れが進んでいるが、世界全体では前回の67%から62%に低下している。
調査は世界各国で計1067人のエグゼクティブを対象として行われた。ブラジルでは今年に入って2.7%の景気後退予測と政府の予想インフレ率4.5%の2倍に迫る物価高によりブランド離れが加速したと推測されている。
「経済危機の中でブラジルの消費者、特に中流階級では、支出を切り詰め、ラベルではなく値段を見て商品を選ぶ傾向にある」と報告書は結論付けている。
ベイン社の経営陣、アルフレッド・ピント氏によれば「消費意欲が弱い時期においては顧客を引き付けることが最も重要」とのことだ。一方、ピント氏は厳しい時期ではあるものの、優先順位を明確にし、焦点の定まった戦略が重要だとも語る。
(文/余田庸子、写真/麻生雅人)
写真はネイマールをキャンペーンのキャラクターに起用している自動車用バッテリーのブランド「エリアー」。”ブランド離れ”の傾向は企業の広告戦略にも影響が出てくるか!?