ブラジルで40年以上愛されつづけている小説「ぼくのオレンジの木」、日本語版発売

2015年 11月 11日

ぼくのオレンジの木

ブラジルで1968年に発表されて以来、世界各国で広く愛され続けているジョゼ・マウロ・デ(ジ)・ヴァスコンセーロスの小説「メウ・ペ・ジ・ラランジャ・リマ」の日本語訳「ぼくのオレンジの木」がポプラ社より発売された。

11月10日(金)、駐日ブラジル大使館にて、訳者の永田翼・松本乃里子の両氏を迎えての記者会見が開催された。同書のファンでもあり「魔女の宅急便」の作者としても知られる児童文学作家の角野栄子さんも会場に駆けつけ、本書が日本で出版されたことへの喜びを語り、両訳者にエールを送った。

「メウ・ペ・ジ・ラランジャ・リマ(「ぼくのオレンジの木」)」は、ブラジルでは国中で、子どもから大人まで幅広い人々に40年以上愛されつづけている小説。これまでに2度映画化されているほか(1970年と2012年)、3度テレビドラマ化(1970年、1980年、1998年)されている。

ジョゼー・マウロ・ジ・ヴァスコンセロス

また、ジョゼ・マウロ・デ(ジ)・ヴァスコンセーロスの生誕95周年を迎えた今年(2015年)の2月26日、ブラジルのグーグルは作家にオマージュをささげて「メウ・ペ・ジ・ラランジャ・リマ(「ぼくのオレンジの木」)」のイラストをドゥードゥル(記念日などに一時的に変更されるグーグルのロゴ)で使った。

同書は日本でも1974年に角川文庫から「わんぱく天使」(岡本浜江・訳、作者表記はJ・M・ヴァスコンセロス)の邦題で翻訳されたことがあるが、角川文庫版はエドガー・H・ミラー・ジュニアによる英訳版(マイケル・ジョセフ出版社)からの訳出だったため、ポルトガル語の原書からの日本語訳は今回が初めてとなる。

記者会見で駐日ブラジル大使館文化部のペドロ・ブランカンチ・マシャード書記官は、自分自身、家や学校でこの本を読んで育った世代のひとりなので、「ぼくのオレンジの木」が日本で翻訳されて刊行されることは個人的にもとても嬉しいことだと述べた。

「ブラジルと日本との間に外交が樹立されて120周年を祝う今年、この本が日本で刊行されたことも大変うれしく、すばらしいことだと思います」(ペドロ・ブランカンチ・マシャード書記官)

ペドロ書記官

会見では、続いて、訳者である永田翼さん、松本乃里子さんがコメントした(次ページへつづく)。

(写真・文/麻生雅人、写真(ドゥードゥル)/Reprodução/Google)